4. 【落とし穴】住民税非課税の判定は、世帯全員とお住まいの自治体で変わる

ここまでは個人の判定の話でした。給付金などで使われる「住民税非課税世帯」は、少し条件が違います。

4.1 世帯全員が非課税でないと住民税非課税世帯にならない

「住民税非課税世帯」は、その世帯に属する全員の住民税が非課税である世帯を指します。

たとえば夫婦2人の世帯で、夫が非課税でも妻に課税されていれば、世帯としては該当しません。同居している子どもに収入がある場合も同じです。

日本年金機構も、老齢年金生活者支援給付金の支給要件として「請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税となっている」ことを挙げています。

4.2 お住まいの自治体によって基準額が違う

この記事で紹介した金額は大阪市と横浜市の公表資料をもとにしたものです。

非課税限度額は地方税法で定められていますが、生活保護の級地区分に応じて3段階に分かれています。

大阪市と横浜市はいずれも1級地にあたります。2級地・3級地では基準額が下がるため、同じ収入でも住んでいる場所によって判定が変わることがあります。

ご自身の目安を知りたい場合は、お住まいの自治体の税務担当課の案内を確認してください。

4.3 判定は1月1日時点の住所と前年の所得

住民税は、その年の1月1日に住んでいた自治体で課税されます。

判定に使われるのは前年1年間の所得です。年の途中で収入が減っても、その年度の住民税にはすぐ反映されません。

5. 【確認のしかた】自分が住民税非課税かどうかを確かめる方法

思い当たる場合は、書類で確かめられます。

最も確実なのは、お住まいの自治体で発行される課税証明書または非課税証明書です。給付金の申請で提出を求められることもあります。

毎年6月ごろに届く住民税の決定通知書や納税通知書でも確認できます。通知書が届いていない場合は、非課税である可能性があります。

年金を受け取っている人は、日本年金機構から届く源泉徴収票で前年の年金収入額を確かめられます。その金額を、この記事の一覧表と見比べてみてください。

6. 住民税非課税世帯が対象になる主な仕組み

住民税が非課税であることは、いくつかの制度で負担を軽くする要件になっています。ここでは一次資料で確認できたものを挙げます。

6.1 年金にプラスされる年金生活者支援給付金

日本年金機構によると、老齢年金生活者支援給付金の要件は3つです。65歳以上で老齢基礎年金を受けていること、請求する人の世帯全員の市町村民税が非課税であること、そして前年の年金収入とその他の所得の合計が基準額以下であることです。

令和8年度の所得基準額は80万9000円以下です。昭和31年4月1日以前生まれの人は80万6700円以下となります。

6.2 高額療養費の自己負担限度額が低く設定される

医療費の自己負担には、所得区分ごとに月ごとの上限が定められています。

厚生労働省の資料によると、70歳以上で住民税非課税の区分では、令和8年8月から令和9年7月の診療分まで、外来の上限が月1万1000円、外来と入院を合わせた世帯ごとの上限が月2万5700円です。

同じ住民税非課税でも、所得が一定以下の区分ではさらに低く、外来は月8000円、世帯ごとは月1万5700円です。

令和8年8月の見直しでは、月ごとの上限が引き上げられた一方で、年間の上限が新たに設けられました。住民税非課税の区分では、外来が年9万6000円、外来と入院を合わせた世帯ごとが年29万円です。

年間の上限を超えて支払った分は、あとから払い戻しを受けられます。この見直しは令和9年8月にも予定されているため、受診する時期の金額を確認してください。

6.3 高額介護サービス費の上限は月2万4600円

介護保険のサービスを使ったときの自己負担にも、月ごとの上限があります。

市町村民税が世帯非課税で、公的年金等の収入とその他の合計所得金額が80万9000円以下の区分では、世帯の上限が月2万4600円、個人の上限が月1万5000円です。

これに該当しない市町村民税世帯非課税の区分でも、世帯の上限は月2万4600円とされています。

7. 住民税が非課税かどうかは、前年の所得と扶養している家族の人数で決まる

公的年金等の収入だけの場合、65歳以上で扶養している家族がいない人は年金収入155万円以下、扶養が1人いる場合は211万円以下が住民税非課税の目安です。

給与のみの場合は、令和8年度から110万円以下に上がりました。

不安になる必要はありません。まずはご自身の前年の収入と、扶養している家族の人数を確かめるところから始めてみてください。

非課税限度額は級地区分によって異なり、判定は世帯単位で行われます。実際に該当するかどうかは、お住まいの自治体の税務担当課に確認するのが確実です。

参考資料

中本 智恵