3. サービスの種類によって給付費は大きく異なる

介護給付費の全国合計を見ると、サービスの種類によって金額や利用の中心となる層に違いがあることが分かります。

3.1 居宅サービスが給付費全体の半分以上を占める

介護給付・予防給付の総額(利用者負担を除く給付費、令和6年度累計)は10兆6187億円で、このうち居宅サービスが5兆4407億円(51.2%)と過半数を占めています。地域密着型サービスは1兆8059億円(17.0%)、施設サービスは3兆3722億円(31.8%)です。

在宅での生活を続けながら介護サービスを利用する方が多いことが、この構成比からもうかがえます。

3.2 施設サービスは重度の方が中心

一方、施設サービスの利用者を要介護度別に見ると、要介護4の受給者が36.7%と最も多く、要介護4・5をあわせた「重度」の受給者が全体の61.2%を占めています。居宅サービスや地域密着型サービスは比較的軽度な方の利用も多いのに対し、施設サービスは重度の方が中心的に利用しているという違いがあります。

4. 地域差も大きい

介護給付費の水準は全国一律ではなく、都道府県ごとにも一定の差が見られます。

4.1 最も高いのは大阪府

第1号被保険者1人あたり給付費は、都道府県によっても差があります。同じ資料によると、最も高いのは大阪府の35万7600円で、全国平均の29万6300円を6万円以上上回っています。高齢化の状況や施設の整備状況、地域ごとのサービス提供体制の違いなどが、こうした差につながっていると考えられます。

お住まいの地域によって実際の給付水準や保険料の設定が変わってくるため、気になる方はお住まいの市区町村が公表している介護保険事業計画等もあわせて確認してみるとよいでしょう。

和田 直子

地域差が生じる理由は一つではありません。高齢化率そのものの違いに加えて、施設サービスの整備状況(特別養護老人ホーム等の定員数)や、そもそも訪問系サービスの事業所がどれだけ充実しているかといった地域ごとの供給体制の違いも影響していると考えられます。

単純に「給付費が高い地域は手厚い」「低い地域は手薄」と決めつけるのではなく、その地域でどのようなサービスがどの程度利用できるのかを、お住まいの市区町村の窓口等で具体的に確認することをおすすめします。

5. まとめ

第1号被保険者1人あたりの介護給付費は、全国平均で年29.6万円(高額介護サービス費等を含めると31.2万円)となっています。ただしこの金額は、要介護・要支援の認定を受けていない8割以上の方も含めた平均であり、実際に認定を受けている方に限ると、1人あたり約147.6万円という試算になります。給付費の内訳は居宅サービスが最も多く、施設サービスは重度の方が中心的に利用しているという傾向も見えてきました。地域によっても給付水準に差があるため、平均額だけでなく、こうした内訳や背景も踏まえて制度を理解しておくとよいでしょう。

参考資料

和田 直子