4. 自己負担を減らす、「自治体のシニア優遇補助金」という選択肢
全国の市区町村では「家庭用防災用品の購入費補助(助成)制度」を独自に実施しており、特に高齢者世帯向けに補助上限額の引き上げなど手厚い優遇措置を用意しているケースが多くあります。
台風・大雨対策に直結する、全国の支援例を見てみましょう(※年度や時期によって内容が変更・終了となる場合があります)。
愛知県東郷町「家庭用防災用品購入費補助金」
対象商品購入金額の2分の1(上限5000円)を補助。簡易トイレ・携帯トイレ、ポータブル電源、ガラス飛散防止フィルムなどが対象です。
高知県香美市「災害用トイレ等購入費補助金」
断水時に役立つ簡易トイレや汚物処理資材の購入費を、1人につき3000円、1世帯あたり最大1万5000円まで補助。
東京都武蔵野市・国分寺市の補助制度
武蔵野市はガラス飛散防止フィルムなどの購入費を上限1万円まで実費補助。国分寺市は簡易トイレや非常食、LED懐中電灯などの購入費用の2分の1(上限5000円)を補助しています。
申請方法は多くの自治体で「領収書やレシート」と「申請書」を窓口や郵送・電子申請で提出する形が一般的です。「お住まいの市区町村名 防災用品 補助」で検索するか、市役所・区役所の防災課や高齢者福祉課に問い合わせてみましょう。別居している子ども世代から「こんな制度があるよ」と実家の親に声をかけることも、実家防災の第一歩になります。
5. 全国調査が映す「備えの格差」と、お金をかけずにできる工夫
自治体の補助金は心強い味方ですが、そもそも「備え」への関心自体に大きな差があることも見逃せません。
株式会社メディアシークが2026年8月に実施した調査(回答者6494人)では、災害への備えが「十分」と答えた人はわずか2.1%。「あまり備えていない」「まったく備えていない」「何を備えればよいか分からない」を合わせると54.2%にのぼりました。避難場所と避難経路の両方を把握している人も19.0%にとどまっています。
補助金を活用してもなお揃わない部分は、家にある日用品で補うことができます。
断水時のトイレ対策としては、ゴミ袋と新聞紙・凝固剤を組み合わせて簡易トイレ代わりにする方法がよく紹介されますし、ラップは食器にかぶせれば洗い物を減らせるため節水につながります。
ペット用の吸水シートも、応急的な処理用シートの代用として活用できます。「完璧な備え」を一度に揃えようとせず、まずは家にあるものの使い道を確認するところから始めてみましょう。
6. まとめにかえて|台風接近前に親子で共有したい「色分け」チェックシート
台風が近づいてから慌てて水や簡易トイレを買いに走っても、店頭は売り切れ、家計への負担も一時に集中してしまいます。
9月1日の防災の日、そして台風シーズン本番に向けて、まずは「お金をかけずにできること」から確認を始めてみましょう。
6.1 すぐできる、お金ゼロの備え
ハザードマップで自宅の安全を確認する。お風呂の水を張り、断水時の生活用水にする(大雨時は下水が逆流する恐れがあるため、トイレを流すのには使わず簡易トイレを使う)。ペットボトルに水を入れて冷凍し、停電時の保冷剤代わりにする。スマホの「機内モード」への切り替えを練習し、停電時のバッテリー消耗を抑える。
6.2 いつもの買い物にプラス1パックの備え
簡易トイレ・簡易トイレ用シートを多めに買う。断水時のトイレは無理に流さず、吸水・密閉してゴミとして捨てるのが鉄則です。ゴミ袋とラップ、好きなお茶やお菓子も少し多めにストックしておきましょう。
6.3 自治体の補助を使って安く揃える備え
自治体のホームページで「防災 補助」と検索してみましょう。モバイルバッテリーやガラス飛散防止フィルム、簡易トイレなどの購入費が助成される場合があり、高齢者世帯向けの優遇措置が用意されていることもあります。
浸水が心配なエリアなら、土のうの無料配布や止水板の助成についても市役所に確認してみてください。
「完璧な備え」を目指す必要はありません。物価高という現実とうまく付き合いながら、自治体の支援や家にある日用品を上手に活用すること。それが、年金生活の家計を守りながら台風シーズンを乗り切るための知恵です。
7. 【筆者コメント】
自治体の補助金は心強い味方ですが、そもそも「備え」への関心自体に大きな差があることも見逃せません。
株式会社メディアシークが2026年8月に実施した調査(回答者6494人)では、災害への備えが「十分」と答えた人はわずか2.1%。「あまり備えていない」「まったく備えていない」「何を備えればよいか分からない」を合わせると54.2%にのぼりました。避難場所と避難経路の両方を把握している人も19.0%にとどまり、災害時の情報源としてはスマートフォンの緊急速報を挙げた人が49.9%と最多でした。
備蓄品を揃えることと同じくらい、まずは自宅周辺のハザードマップと避難経路を家族で確認し、緊急速報の通知設定をオンにしておくこと。それだけでも、いざという時の安心につながります。ぜひ今日、ご家族と一緒にチェックしてみてください。
参考資料
- 内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 文部科学省「公立学校施設の体育館等の空調(冷房)設備の設置状況について」
- ミドリ安全株式会社「世代別防災意識調査 2026」
- セコム株式会社「防災に関する意識調査」
- サントリービバレッジ&フード株式会社「災害時の避難生活に関する実態調査」
- 一般社団法人日本トイレ協会「災害時用トイレ備蓄実態アンケート調査(2025年)」
- デンカアステック株式会社「災害時、本当に困るのは飲み水ではなく『トイレ』だった」意識調査
- 株式会社メディアシーク「防災への意識や備え」に関する意識調査
- 愛知県東郷町「東郷町家庭用防災用品購入費補助金」
- 高知県香美市「災害用トイレ等購入費補助金」
- 石川県七尾市「七尾市防災用品購入補助制度」
