4. 単身世帯ならではの空欄

表を開くと、数字が入らない行がいくつもあります。

4.1 世帯主以外の収入欄がすべて空

勤め先収入366万7000円の内訳を見ると、世帯主収入が366万7000円で、世帯主の配偶者の収入と他の世帯員収入はいずれも「-」と表示されています。

公的年金・恩給給付17万5000円も同じで、世帯主への給付が17万5000円、配偶者への給付と他の世帯員への給付は「-」です。18歳未満人員も「-」でした。

4.2 収入源が1本であるということ

二人以上の世帯なら、配偶者の収入や他の世帯員の収入が別の行に立ちます。単身世帯の表では、その行がすべて空欄になります。

419万8000円という金額そのものより、それが1人分で完結しているという点が、二人以上の世帯との大きな違いです。収入が途切れたときに、世帯の中で補う相手がいません。

5. 利子・配当金という項目

資産から生まれる収入もあります。

5.1 年間8万1000円

利子・配当金は年間8万1000円です。同じ調査の資産の側では、単身世帯の有価証券が538万5000円と示されています。

保有している資産の大きさに比べると、そこから生まれる年間の収入は控えめな水準です。

5.2 別の調査では、貯蓄の分布に大きな開きがある

今回の調査の数字は単純平均値なので、単身世帯のあいだにどれだけ差があるのかは見えません。別の調査で分布まで見ておくと、平均という数字の性格が分かります。J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「2025年家計の金融行動に関する世論調査」をもとに単身・二人以上世帯の貯蓄額を比較した記事では、40歳代のおひとりさまについて次の数字が示されています。

  • 金融資産非保有:32.1%
  • 平均:859万円
  • 中央値:100万円

今回の調査の平均年齢44.5歳に近い年代です。平均は859万円ですが、中央値は100万円で、金融資産を持っていない世帯が3割を超えています。なお、こちらは金融資産の保有額を尋ねた調査で、先に見た有価証券538万5000円とは調査も対象の範囲も違うため、直接足し引きできる数字ではありません。

6. 参考として示されている所得

表には別の集計も載っています。

6.1 年間第一次所得と年間市場所得

この表には、OECD新基準に準拠した参考値として、年間第一次所得388万6000円、年間市場所得391万円が示されています。

年間収入419万8000円とは集計の考え方が違うため、国際比較などで使われる別の数字だと理解しておくとよいところです。

7. 読むときの注意

数字の性格を押さえておきます。

7.1 単純平均値である

今回の表は「単純平均値」と明記されています。中央値ではないため、一部の高い収入に平均が引き上げられている可能性があります。

419万8000円という数字と自分の収入が違っても、珍しいことではありません。年代別に見たい場合は、年齢階級別の表を確かめる必要があります。

7.2 インターネットによるモニター調査である

もう一つ、調査のつくりも押さえておきたいところです。総務省統計局によると、この調査は民間事業者が保有・管理する登録モニター等の調査協力世帯の中から選定した全国の単身世帯約3000世帯を対象に、パソコンやスマートフォン、タブレット端末からインターネットを利用して回答する方法で行われました。

全国家計構造調査の単身世帯結果を補完・補強することを目的とした一般統計調査で、集計・公表も全国家計構造調査と一体的に行われています。無作為に抽出した世帯を訪問して調べる形式ではないという点は、数字を読むときの前提になります。

中本 智恵

窓口でお客さまの資料を拝見していて感じたのは、単身の方の家計は「入ってくる本数」がそのまま強さになるということです。二人以上の世帯なら、片方の収入が止まってももう片方が残ります。単身世帯の表で配偶者や他の世帯員の欄がすべて空になっているのは、その支えがないことをそのまま表しています。

だからこそ、勤め先収入以外の行に何か立てられないかを考える価値があります。今回の表でいえば、利子・配当金、企業年金・個人年金給付、事業・内職収入の家賃・地代あたりが、意識してつくれる可能性のある行です。金額が小さくても、行が増えること自体に意味があります。

そのうえで、これは平均を見て自分の家計を評価する話ではありません。419万8000円と自分の額を比べるのではなく、自分の収入がいくつの行から成り立っているかを数えてみてください。そこから、次に手をつける場所が決まります。

8. まとめにかえて

単身世帯の年間収入額は419万8000円で、そのうち勤め先収入が366万7000円を占めます。世帯主の平均年齢は44.5歳です。

男女では男性470万7000円、女性363万9000円で106万8000円の差があり、その大部分は勤め先収入の差から生まれています。一方で公的年金・恩給給付や企業年金・個人年金給付は、いずれも女性のほうが多くなっています。

いずれも単純平均値で、インターネットによるモニター調査の結果です。自分の年代と比べたい場合は、年齢階級別の表もあわせて確かめてみてください。

参考資料

中本 智恵