3. 平均2416万円と中央値1178万円のどちらを見るか
同じ調査には、代表値も載っています。
3.1 平均は金額の大きい世帯に引き上げられる
70歳代・二人以上世帯では、平均が2416万円、中央値が1178万円です。
60歳代より平均・中央値ともに低下しており、退職後に生活費や医療費などで資産を取り崩している世帯が増えていると考えられます。
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
70歳代の金融資産保有額の平均は2416万円です。ただし分布を見たとおり、3000万円以上の世帯が25.2%を占めています。
平均値は、こうした金額の大きい世帯に引き上げられます。1000万円未満の世帯が44.1%いる年代で、2416万円という数字がそのまま「よくある姿」を表しているわけではありません。
3.2 中央値は並べたときの真ん中
同じ70歳代の中央値は1178万円です。金額の少ない順に並べて、ちょうど真ん中にくる世帯の値になります。
平均との差は1238万円です。自分の位置を確かめたいときは、中央値のほうが手がかりになります。
4. 60歳代と並べると減り方が見える
前後の年代も見ておくと、動きが分かります。
4.1 60歳代は平均2683万円・中央値1400万円
60歳代・二人以上世帯では、平均が2683万円、中央値が1400万円となっています。
40歳代・50歳代と比べると、資産額は大きく増加しています。退職金の受け取りや住宅ローンの完済などが、金融資産を押し上げている可能性もあるでしょう。
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
50歳代は平均1908万円、中央値700万円です。60歳代が最も多く、そこから70歳代にかけて平均も中央値も下がるという形になっています。
4.2 退職金が入ったあと、取り崩しが始まる
60歳代でいったん増えるのは、退職金の受け取りが重なる年代だからと考えられます。その後は年金を受け取りながら、生活費に充てていく時期に入ります。
70歳代の数字が60歳代を下回っているのは、その取り崩しが進んだあとの姿を見ているということです。就業率が下がっていく年代とも重なります。
もっとも、この調査は同じ世帯を追いかけたものではありません。60歳代の世帯がそのまま70歳代になったときの姿を示しているわけではなく、いま60歳代の人といま70歳代の人を、それぞれ別に集計した結果です。
生まれた年代が違えば、働いてきた期間の賃金水準も、受け取る年金の額も違います。年代をまたいだ比較は、そうした前提の違いを含んだものとして見ておきましょう。
5. まとめにかえて
70歳代の二人以上世帯では、金融資産が1000万円に届かない世帯が44.1%、3000万円以上ある世帯が25.2%でした。金融資産を保有していない世帯も10.9%あります。
代表値でみると平均2416万円、中央値1178万円で、差は1238万円です。分布の幅が広いぶん、平均だけを見ても自分の位置は分かりません。
同じ年代の就業率は、70~74歳で36.2%、65~69歳で54.5%です。金融資産の額に、収入が続いているかどうかを重ねて見ておきましょう。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 内閣府「令和8年版高齢社会白書(全体版)」
- 【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
- 「ふつう」のシニアは年金を月いくらもらってる?60歳代以上の平均額と、無職世帯のリアルな家計収支を公開
中本 智恵