70歳代の貯蓄はいくらくらいなのか、平均額だけを見て落ち込んだ経験のある方もいるかもしれません。

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」2025年で世帯主が70歳代の二人以上世帯を見ると、金融資産が1000万円に届かない世帯は44.1%、3000万円以上ある世帯は25.2%でした。

この記事では、70歳代の金融資産がどう散らばっているのかを確かめたうえで、同じ年代がどれだけ働いているのかもあわせて見ていきます。

中本 智恵
平均や中央値は、その年代を一つの数字で言い表したものです。ただ70歳代は、下の層と上の層の両方に人数が集まっていて、真ん中あたりが薄い形をしています。まずは自分がどのあたりの帯に入るのかを、分布から確かめてみてください。

なお、70歳代の金融資産の分布に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認

1. 70歳代の金融資産は1000万円未満が44.1%

まず、分布のかたちから確認します。

1.1 金融資産を保有していない世帯が10.9%ある

J-FLECの調査では、金融資産を保有していない世帯も含めて集計しています。70歳代のうち、その非保有の世帯は10.9%でした。

非保有の世帯と、金融資産が1000万円に届かない世帯を合わせると44.1%になります。70歳代の4割強が、この範囲に入っていることになります。

分布の内訳については、「【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」」から要点を引用して確認してみます。

  • 金融資産非保有:10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:3.7%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.9%
  • 500~700万円未満:6.4%
  • 700~1000万円未満:6.7%
  • 1000~1500万円未満:11.1%
  • 1500~2000万円未満:6.7%
  • 2000~3000万円未満:12.3%
  • 3000万円以上:25.2%
  • 無回答:0.6%

出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」

1.2 3000万円以上は25.2%で、4世帯に1世帯を超える

反対の端も見ておきましょう。3000万円以上を保有する世帯は25.2%で、4世帯に1世帯を超えています。2000万円以上3000万円未満も12.3%です。

同じ70歳代のなかに、まったく違う家計が並んでいます。ひとつの代表値で言い表せる年代ではありません。

70歳代の金融資産は、下の層と上の層の両方に厚みがあります1/2

70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額を非保有から3000万円以上まで12区分で示した分布図

出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

2. 70~74歳の36.2%が働いている

金融資産の額と並べて見ておきたいのが、この年代の働き方です。

2.1 65歳以上の就業者数は22年連続で前年を上回った

内閣府が2026年6月に公表した令和8年版高齢社会白書によると、65歳以上の就業者数および就業率は上昇しており、就業者数は22年連続で前年を上回っています。

働く高齢者が増えるという傾向が、20年以上にわたって続いていることになります。

2.2 65~69歳は54.5%、75歳以上は12.6%

令和7年の就業率は、65~69歳で54.5%、70~74歳で36.2%、75歳以上で12.6%でした。65~69歳では半数を超えています。

金融資産が少ない世帯であっても、収入が年金だけとは限りません。取り崩しのペースは、働いているかどうかで変わってきます。

年齢が上がるにつれて就業率は下がりますが、70歳代前半でも3人に1人を超えています2/2

65~69歳・70~74歳・75歳以上の年齢階級別就業率を示した図

出所:内閣府「令和8年版高齢社会白書」をもとにLIMO編集部作成

年金でどのくらいの収入が入ってくるのかはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
「ふつう」のシニアは年金を月いくらもらってる?60歳代以上の平均額と、無職世帯のリアルな家計収支を公開

中本 智恵

銀行で個人のお客様を担当していた頃も、70歳代は資産の幅がいちばん広い年代でした。平均の一点だけでは、なかなか当てはまりません。

窓口で伺っていて印象に残っているのは、同じくらいの残高でも、働いて収入が続いている方とそうでない方とでは、通帳の減り方がまったく違うということです。金額そのものより、毎月いくら入って、いくら出ていくかのほうが効いてきます。

残高の多い少ないで一喜一憂する前に、収入が続いているかどうかを並べて見てみてください。そのうえで、次のページの平均と中央値を確かめると、自分の位置がつかみやすくなります。