2. 年金以外の所得で負担割合が変わる場合がある
給与収入や不動産収入、株式の配当・譲渡益などがある場合は、負担割合や保険料の判定に影響する可能性があります。
たとえば、給与所得、不動産所得、事業所得、株式の配当所得、株式等の譲渡所得などがある場合、所得金額に含まれることがあります。また、保険の満期金を一時金で受け取った場合も、税務上は一時所得として扱われることがあります。
給与収入や不動産収入がある方、保険の満期金を受け取った方、株式の配当や売却益がある方は、翌年度の通知を確認しておくとよいでしょう。
2.1 保険の満期金など一時所得に注意
筆者は保険営業時代、保険の満期金を受け取ったことで、翌年度の医療費の窓口負担割合が変わった方を見た経験があります。
満期金そのものは一時的な収入であっても、税務上の所得として扱われる場合があります。毎年の年金収入が大きく変わっていなくても、満期保険金などが発生した年は、翌年度の判定に影響する可能性があります。
具体的な税務上の扱いは、保険料の負担者と保険金の受取人、受け取り方などによって異なります。国税庁では、保険料の負担者と保険金受取人が同一人で、満期保険金等を一時金で受け取った場合は、一時所得になると説明しています。
2.2 金融所得は今後、反映方法が見直される
厚生労働省によると、「健康保険法等の一部を改正する法律案」は令和8年5月29日に成立しました。
同省は、後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映について、上場株式の配当等の金融所得は確定申告の有無によって窓口負担割合や保険料が変わる場合があるとし、こうした不公平の解消が必要だと説明しています。
これまで、上場株式等の配当等には確定申告不要制度があり、確定申告をしない場合には合計所得金額に含まれない扱いとなるものがあります。国税庁も、上場株式等の配当等について、確定申告不要制度を選択できる場合があると説明しています。
今回の医療保険制度改革では、こうした金融所得について、確定申告の有無にかかわらず、窓口負担割合や保険料の判定に反映する方向で見直しが進められます。
ただし、施行時期については、厚生労働省の該当ページ本文では具体的な年月日まで示されていません。ここでは具体的な年度を断定せず、制度改正の方向性として押さえるにとどめます。
2.3 判定は前年の所得をもとに行われる
この制度で気をつけておきたいのは、負担割合の判定が前年の所得をもとに行われるという点です。所得が動いた年の影響が出るのは翌年度になりますので、負担割合が変わったときには、原因になった出来事はすでに1年前ということになります。
満期保険金や株式の売却益のように、その年だけ大きく出る所得がある場合は、受け取った時点で翌年度に効いてくる可能性を頭に置いておくと、通知が届いたときに慌てずに済みます。
なお、確定申告の方法や所得の扱いは、状況によって結論が変わります。金融所得の反映方法も見直しが進められている最中ですので、判断が必要な場面では、お住まいの自治体や後期高齢者医療広域連合、税務署や税理士など、それぞれの所管窓口で確認してください。
3. まとめにかえて
後期高齢者医療制度で3割負担になるかどうかは、単身世帯なら年収383万円以上、夫婦など複数世帯なら収入合計520万円以上が一つの目安です。ただし、実際の判定では市町村民税の課税所得145万円以上に該当するかも確認されるため、年金収入の金額だけで判断することはできません。
特に注意したいのは、年金以外の所得です。保険の満期金や株式の配当・譲渡益などがあると、その年だけ所得が増え、翌年度の負担割合や保険料に影響する可能性があります。2026年5月29日には金融所得の反映を見直す法律も成立しており、今後は金融所得の扱いにも注意が必要です。
自分の負担割合は、資格確認書や自治体・後期高齢者医療広域連合から届く通知で確認できます。制度は今後も変更される可能性があるため、各窓口や公式サイトで最新情報を確認のうえ、手続きを進めてみてください。
参考資料
- 厚生労働省「第203回社会保障審議会医療保険部会議事録」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「後期高齢者医療事業状況報告 令和5年度 分析表(PDF)」
- 厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」
- 国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
- 国税庁「配当所得の課税方法」
- LIMO「【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説」
小西 雅美