3. ひとり親家庭が使える12種類の資金と、進学に関わる限度額
では、その修学資金を含む制度の全体像をみていきます。こども家庭庁の資料によると、母子父子寡婦福祉資金の貸付金には次の12種類があります。
①事業開始資金 ②事業継続資金 ③修学資金 ④技能習得資金 ⑤修業資金 ⑥就職支度資金⑦医療介護資金 ⑧生活資金 ⑨住宅資金 ⑩転宅資金 ⑪就学支度資金 ⑫結婚資金
利子は、貸付金の種類や連帯保証人の有無によって異なりますが、無利子または年利1.0%とされています。償還方法は貸付金の種類によって異なり、一定の据え置き期間の後、3年から20年です。
進学に関わるのは、このうち「修学資金」と「就学支度資金」の2つです。
図の左が修学資金、右が就学支度資金です。いずれも高校以上は自宅外通学の場合の限度額を例示したものになります。
修学資金は月額での貸付けです。大学が月14万6000円、短期大学が月13万1000円、専修学校(専門課程又は専攻科)が月12万6500円と定められています。
高等専門学校は学年で分かれており、1年から3年が月5万2500円、4年から5年が月11万5000円です。大学院は修士課程が月13万2000円、博士課程が月18万3000円となっています。
就学支度資金は、入学等に必要な資金です。国公立大学・短大・大学院等が43万円、私立大学・短大・大学院等が59万円、私立高校等が42万円、国公立高校等が16万円と定められています。
小学校の9万1600円、中学校の10万1000円もあり、進学の節目ごとに用意されている形です。実施主体は都道府県・指定都市・中核市とされています。
4. 借りる前に確かめておきたいこと
貸付けである以上、返す前提の資金です。申し込む前に押さえておきたい点をいくつか挙げます。
ひとつは、高等教育の修学支援新制度との関係です。こども家庭庁の資料によると、大学等修学支援法の規定による入学金の減免を受けることができる場合、就学支度資金の限度額は、所定の額から当該減免の額に相当する額を控除した額とされています。
減免を受けられるなら、その分は貸付けの限度額から差し引かれるということです。二重には受け取れない設計になっています。
もうひとつは償還についてです。減免を受けた場合には、その相当額について、当該減免を受けた日から6ヶ月以内の償還義務があるとされています。
申し込みの順番や時期によっては、いったん借りた分を返すことになる場合がある、ということです。修学支援新制度の申請と貸付けの申請を、どちらも検討しているのであれば、この関係は先に窓口で確認しておきたいところです。
そして、実施主体は都道府県・指定都市・中核市です。手続きの窓口や必要書類、受付の時期は自治体によって異なります。
制度の適用可否をこの記事だけで判断することはできません。お住まいの自治体の福祉事務所や、ひとり親家庭の相談窓口にご確認ください。
5. まとめにかえて
今回は、児童扶養手当の終わりと、そのあとに用意されている支援をみてきました。手当が受け取れるのは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までです。
その日は、多くの家庭で子どもが高校を卒業する時期にあたります。収入が減る時期と、進学の費用が出ていく時期が重なるということです。
ただ、制度の側もその重なりを見ています。高校等に就学する児童がこの日を過ぎて手当を受けられなくなった場合、母子父子寡婦福祉資金の修学資金の限度額には児童扶養手当の額が加算されます。
そして母子父子寡婦福祉資金には12種類があり、無利子または年利1.0%で借りられます。なお、貸付実績は件数・金額とも約9割が児童の修学資金関係でした。
ただし貸付けですので、返す前提の資金です。高等教育の修学支援新制度で入学金の減免を受けられる場合は、就学支度資金の限度額から減免相当額が差し引かれます。
制度は、届出や案内が来て初めて知ることが少なくありません。けれど終わりの日だけは、今からでも自分で確かめておくことができます。
お子さんの誕生日から、その次に来る3月31日を数えてみる。そこから逆算して、何が使えるのかを早めに調べておく。手続きの窓口はお住まいの自治体になりますので、時間に余裕のあるうちに一度相談してみてはいかがでしょうか。
6. 執筆者コメント
参考資料
宮野 茉莉子
