猛暑の中にもわずかに秋の気配が混じり始める9月。日本年金機構から、新規対象となる年金受給者の方へ、年金生活者支援給付金の請求書が入った封筒が順次届き始める時期でもあります。
警察庁が2026年8月に公表した最新統計によると、2026年上半期(1月〜6月)の特殊詐欺の被害総額は1816.2億円で、前年同期比51.7%もの増加となりました。1日あたりに換算すると、約10.0億円もの被害が生まれている計算です。
「年金支給日の当日にだけ気をつけていれば大丈夫」——そう考えている方は少なくないかもしれません。しかし実際には、詐欺グループの"仕込み"は支給日の数日前からすでに始まっています。
本記事では、なぜ支給日"前"が危ないのか、8月・9月に届く本物の重要書類がどのように悪用されているのかを、警察庁や日本年金機構の公表資料をもとに整理します。
※本記事は一部「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」を引用のもと執筆しています。
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2026年上半期の特殊詐欺被害額は1816.2億円、前年同期比51.7%増で1日あたり約10.0億円の計算に
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詐欺グループは年金支給日"当日"ではなく、その数日前から電話で信じ込ませる"仕込み"を行っている
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8月の「公金受取口座意向確認書」、9月の「年金生活者支援給付金」という本物の書類が便乗の材料にされている
1. 年金支給日"前"が危ない――上半期だけで被害総額1816億円、1日10億円ペースで増加中
偶数月の15日(土日祝日の場合は直前の平日)は、多くの年金受給者にとって「年金支給日」です。
しかし警察庁・SOS47が2026年8月に公表した「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」を見ると、被害はもはや支給日当日だけの問題ではないことがわかります。
- 認知件数:2万2031件(前年同期比+3408件、+18.3%)
- 被害総額:1816.2億円(前年同期比+618.8億円、+51.7%)
- 1日当たりの被害額:約10.0億円
注目したいのは、被害総額の伸び率(+51.7%)が、認知件数の伸び率(+18.3%)を大きく上回っている点です。
これは1件あたりの被害額そのものが拡大していることを示しており、犯行グループが支給日当日にまとめて大きな金額を引き出させるため、支給日より前の段階から周到に"仕込み"の電話をかけているためとみられます。
2. 8月送付開始の「意向確認書」、9月は「緑の封筒」――本物の書類に便乗する手口
2026年8月からは、令和8年4月15日時点で65歳以上(昭和36年4月16日以前生まれ)の年金受給者へ、「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」が、生年月日に応じて2026年8月から2027年2月にかけて段階的に、簡易書留で発送されています。
また毎年9月には、新たに年金生活者支援給付金の対象となる可能性がある方などに、はがき型の請求書が入った封筒が順次届きます。
警察庁や日本年金機構の注意喚起では、こうした本物の書類の存在につけ込み、「手続きをしないと年金の支給が止まる」といった自動音声ガイダンスや、給付金・還付金を装ってATM操作や訪問を持ちかける手口が繰り返し報告されています。
日本年金機構、厚生労働省、デジタル庁が、電話・SMS・メールで口座番号や暗証番号の提供、ATMの操作を求めることは一切ありません。
3. 筆者からのコメント
日本年金機構が2026年4月に公表した資料によると、2025年度に同機構へ寄せられた不審な電話・メールに関する問い合わせは合計3027件(電話2349件、メール678件)にのぼりました。
中でも急増しているのが、「手続きをしないと年金の支給が止まる」という自動音声ガイダンスで連絡してくる手口で、令和7年度は1633件と、前年度の770件から倍以上に増えています。
メールでは、マイナンバーカードの画像提出を求める文面が267件と最も多く、次いで不足書類の再提出を促すもの(185件)、社会保険料控除証明書関連の資料提出を促すもの(112件)と続きます。
人がかけてくる詐欺電話よりも、機械音声のほうが"公的な通知"らしく聞こえてしまうためか、油断してダイヤル操作や折り返しの電話をしてしまう方が後を絶ちません。
自動音声で年金や給付金の話が流れてきたら、その時点でまず疑い、折り返す場合は必ず公式サイトに掲載された番号にかけ直す習慣をつけましょう。


