4. 年金支給日前後、特に注意したい「3つの詐欺パターン」

警察庁・SOS47の注意喚起をもとに、シニアが特に引っかかりやすい代表的な3パターンを整理します。

  • 還付金詐欺:「給付金・還付金がある」と電話し、ATMへ誘導して操作させる
  • 預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺盗:警察官や職員を名乗り訪問し、カードをすり替えて盗む
  • フィッシング詐欺:日本年金機構やマイナポータルを装うメール・SMSで偽サイトへ誘導する

日本年金機構の注意喚起では、いずれの手口についても「口座番号などの個人情報を聴取しない」「銀行振込やATM操作を案内することはない」と明記されています。自動音声で連絡することもありません。

「本物の書類が届いている」という事実があるからこそ、支給日前の慌ただしさの中でつい信じてしまう——この心理を悪用している点こそが、最新の手口の巧妙さです。

5. 今日からできる対策と、迷ったときの相談窓口

対策の基本は「知らない番号にすぐ出ない」「その場で判断しない」ことです。留守番電話を常時設定し、録音内容を確認してから折り返す習慣、メールやSMSのURLは開かず公式サイトやアプリから直接確認する習慣を、家族で共有しておきましょう。

【絶対の鉄則】国、日本年金機構、年金事務所、警察、市区町村の職員が、電話や訪問で暗証番号を尋ねることや、ATMの操作を指示することはありません。

少しでも不審に感じたら、支給日前であってもためらわず、以下の窓口へ相談してください。

  • 警察相談専用電話:#9110
  • 消費者ホットライン:188(いやや)
  • 意向確認書照会専用フリーダイヤル:0120-74-0011(IP電話等は050-3524-7372)
  • マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178
  • 年金生活者支援給付金専用ダイヤル:0570-05-4092(050からは03-5539-2216)
  • ねんきんダイヤル:0570-05-1165(050からは03-6700-1165)

6. まとめにかえて|「支給日前の電話」こそ家族で警戒したい

年金支給日は嬉しいものですが、その前の数日間もまた、詐欺グループが周到に狙いを定める期間です。

離れて暮らす親御さんがいる方は、「支給日より前に、年金や給付金の電話がかかってきたら、まず自分に一本電話してほしい」と、今のうちに伝えておくと安心です。「支給日当日より前の電話こそ怪しい」という視点を家族で共有しておくことが、大切な資産を守る一番の備えになります。

7. 【筆者コメント】

熊谷 良子

今回の統計で印象的だったのは、被害総額の伸び率(+51.7%)が、認知件数の伸び率(+18.3%)を大きく上回っていたことです。

件数の増え方よりも、1件あたりの被害額の増え方のほうが速い——つまり、犯行グループが以前よりも時間をかけて対象者を信じ込ませ、一度に引き出させる金額を大きくしている可能性がうかがえます。

支給日当日の警戒だけでは、この"仕込み"の段階を見逃してしまいます。

厄介なのは、対象者自身が「怪しい電話に注意している」というつもりでいても、本物の書類が手元にあることで判断が鈍ってしまう点です。

「支給日より前に年金や給付金の電話がかかってきたら、電話を切ってまず家族に確認する」——この一手順をあらかじめ家族で決めておくだけで、判断を一人で抱え込まずに済みます。

「最近、年金や給付金の話で変な電話はなかった?」——それだけの一言を、次に実家へ連絡するときにぜひ添えてみてください。

参考資料