自分は会社の健康保険に入っているのに、国民健康保険の納付書が自分あてに届いた。そんな経験はないでしょうか。
国民健康保険の保険料を納める義務を負うのは世帯主です。世帯主本人が国民健康保険に加入していなくても、同じ世帯に加入者がいれば、納付書は世帯主あてに送られます。これを擬制世帯主と呼びます。
筆者は自治体で国民健康保険と後期高齢者医療の保険料の計算を担当していました。この記事では、この仕組みと、軽減の判定にどう影響するのかを確認していきます。
- 国民健康保険料の納付義務者は世帯主。世帯主が加入していなくても納付書は世帯主あてに届く
- 保険料の軽減判定には、国保に加入していない世帯主の所得も含まれる
- 世帯主が変わったときは、その変更月を基準に軽減の再判定が行われる
なお、国民健康保険料の計算のしくみについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 納付書が世帯主あてに届く理由
まず、誰が保険料を納める立場になるのかを確認します。
1.1 保険料は世帯単位で計算される
厚生労働省の説明によると、国民健康保険料(税)は世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分・応能分の各種類を計算し、それらを合計したものとなります。
個人ごとに請求されるのではなく、世帯でひとまとめにして計算する形です。そのため、納付の相手方も世帯にひとりだけ決まります。それが世帯主です。
1.2 世帯主が加入していない場合が擬制世帯主
世帯主自身が勤務先の健康保険に加入していて、国民健康保険の被保険者ではない場合もあります。それでも同じ世帯に国民健康保険の加入者がいれば、納付義務は世帯主が負います。
この場合の世帯主を擬制世帯主といいます。自分は国保に入っていないのに納付書が届く、という状況はここから生まれます。
2. 軽減の判定にも世帯主の所得が入る
擬制世帯主が関わってくるのは、納付書の宛名だけではありません。
2.1 判定に含まれる人の範囲
国民健康保険料には、世帯の所得が基準額を下回る場合に均等割・平等割を7割・5割・2割減額する軽減があります。この判定に使う所得は、国民健康保険の被保険者だけで見るわけではありません。
国保に加入していない世帯主、つまり擬制世帯主の所得も判定に含まれます。さらに、国民健康保険から後期高齢者医療制度へ移った人についても、所得と人数を引き続き判定に含める取り扱いがあります。
2.2 世帯主の収入が高いと軽減が受けられないことがある
この結果、国民健康保険に加入している家族の所得が低くても、世帯主の所得が高ければ軽減の対象から外れることがあります。
加入している本人の所得だけを見て「うちは軽減されるはず」と考えると、通知書を見たときに食い違いが出ます。判定の対象がどこまで広がっているのかを知っておきたいところです。
「自分は入っていないのに、なぜ自分に請求が来るのか」という問い合わせは、窓口で何度も受けてきました。制度上そうなっている、としか説明できないところが心苦しい部分でした。

