3. 傷病手当金、1日あたりの支給額と「通算1年6か月」の期間

傷病手当金はいくらもらえるのでしょうか。支給額と期間の決まり方を見ていきます。

3.1 支給開始日以前12か月の平均から出す

全国健康保険協会が示している例で確認します。支給開始日が令和8年2月15日、標準報酬月額が令和7年3月から8月まで16万円、令和7年9月から令和8年2月まで18万円だった場合です。

まず12か月を平均すると17万円になります。これを30で割ると5670円で、10円未満は四捨五入されます。さらに3分の2を掛けた3780円が1日あたりの支給額です。1円未満は四捨五入されます。

村岸 理美

就業不能に備える保険を考えるときは、先に傷病手当金でどこまで埋まるかを見ます。公的な給付で足りない部分がどれだけあるかが分かってから、備え方の話に進めます。

4. 支給期間の数え方が変わっている

期間の考え方には改正があります。

4.1 通算して1年6か月

全国健康保険協会は、傷病手当金の支給期間について、支給を開始した日から通算して1年6か月としています。

通算という言葉が使われているのは、途中で復職した期間があってもその分は数えず、支給された期間を積み上げて1年6か月に達するまで受けられるためです。療養が断続的に続く場合に効いてきます。

4.2 12か月に満たない場合の計算

1日あたりの額は支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均から計算しますが、支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合には、別の計算方法が定められています。

入社して間もない時期に休業することになった場合は、この扱いになります。加入期間が短い方は、金額の出方が変わる点を確認しておきたいところです。

5. 退職したあとも受けられる場合

資格を失ったあとの取扱いもあります。

5.1 継続給付の3つの条件

資格喪失の日の前日である退職日等までに被保険者期間が継続して1年以上あること、そして被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることを満たせば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができます。

この被保険者期間には、任意継続被保険者、共済組合の組合員である被保険者、または国民健康保険に加入していた期間は含まれません。

5.2 一度でも働ける状態になると終わる

全国健康保険協会は、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後さらに仕事に就くことができない状態になっても傷病手当金は支給されないとしています。

在職中は通算で1年6か月まで受けられますが、退職後の継続給付では扱いが異なります。退職の時期を考えるときに関わってくる部分です。

6. 申請するときの流れ

手続きの入口も確認しておきます。

6.1 支給申請書を支部に提出する

健康保険傷病手当金支給申請書を、加入している協会けんぽの支部に提出します。健康保険組合に加入している場合は、その組合が提出先になります。

申請書には療養担当者が記入する欄と、事業主が記入する欄があります。自分だけで完結する手続きではないため、休みに入る段階で勤務先に相談しておくと進めやすくなります。

6.2 まとめて申請するか、月ごとに申請するか

申請の単位に決まりはありませんが、支給を受けるまでには審査の時間がかかります。休業が長引きそうな場合は、生活費の入り方を考えて申請の間隔を決めておきたいところです。

迷う場合は、加入している健康保険の窓口に確認するのが確実です。

7. まとめにかえて

傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けず、給与の支払いがない場合に支給されます。連続する3日間の待期があり、4日目以降が対象です。待期には有給休暇や公休日も含まれます。

1日あたりの額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額を平均した額を30で割り、3分の2を掛けて求めます。支給期間は支給開始日から通算して1年6か月です。

任意継続被保険者の期間中に発生した病気やけがは対象になりません。退職を挟む場合は条件が変わるため、加入している健康保険の窓口で確認してみてください。

参考資料

村岸 理美