2. 働く選択肢を広げる5つの就労支援サービス

精神障がいがある方をはじめとする障がい者の就労を支えるしくみとして、障害者総合支援法には「就労選択支援」「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労定着支援」の5種類の就労系障害福祉サービスが設けられています。

  • 就労選択支援:本人の希望や適性に合った働き方の選択を専門員がサポート
  • 就労移行支援:一般企業への就職を目指す方に向けた、知識や能力向上のための実践的な訓練
  • 就労継続支援A型:事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与をもらいながら働く場
  • 就労継続支援B型:雇用契約は結ばず、体調や体力に合わせて自分のペースで働き、工賃を受け取る場
  • 就労定着支援:一般企業に就職した後の、職場での人間関係や生活面での相談サポート

就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ2/3

就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ

出所:厚生労働省「障害福祉サービスからの就職者」

令和6年度に就労系福祉サービスから一般就労(通常の企業への就職)へ移行した人は約2万9000人にのぼりました。統計を取り始めた平成15年と比べて22倍以上の水準であり、支援を活用した就労機会が広がっていると考えられます。

2.1 A型の平均工賃(賃金)は過去最高「月額9万円台」へ。

平均工賃(賃金)月額の実績について3/3

平均工賃(賃金)月額の実績について

出所:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」

一般企業で働くことに不安や困難を感じる方が利用する「就労継続支援A型およびB型」では、利用者が受け取る賃金や工賃の水準も年々改善されています。厚生労働省によると、令和6年度の実績は以下のとおり過去最高を更新しました。

  • 就労継続支援A型:平均工賃(賃金)月額 9万1451円
  • 就労継続支援B型:平均工賃(賃金)月額 2万4141円

雇用契約を結び最低賃金が適用されるA型は、B型に比べて月額でおよそ3.8倍の水準となっています。B型の平均工賃についても、近年は算定方法が見直され、利用日数の少ない方に配慮した新しい計算式が導入されたこともあり、右肩上がりの推移が続いています。

なお、都道府県別では、B型の平均工賃は徳島県(3万231円)や島根県(2万9304円)が上位に、A型の平均賃金は東京都(11万1818円)や広島県(10万7968円)が上位に位置するなど、地域差がある点にも留意が必要です。

3. まとめにかえて

今回は、精神障害者保健福祉手帳の現状と、障害のある方を支える5つの就労支援サービスについて解説しました。手帳の所持者は154万人を超えており、税制優遇や公共料金の割引に加え、障害者雇用枠や就労支援サービスを利用するための重要なパスポートとしての役割を果たしています。

さまざまな公的制度を正しく理解し、専門機関のサポートを上手に活用することは、これからの時代を生き抜くための大切な防衛策になります。制度の対象になるかもしれないと感じた方は、まずは一人で抱え込まず、お住まいの市区町村の窓口へ相談するところから始めてみてください。

村岸 理美

ライフプランのご相談では、ご本人やご家族の予期せぬ不調による収入減少への不安をうかがうことがあります。記事内にもある通り、手帳の取得や福祉サービスは「自立への足がかり」となる前向きな制度であり、利用することは決して特別なことではありません。まずは市区町村の保健福祉窓口で現状を伝え、使える制度がないかを確認することが、家計と心の安心を取り戻す第一歩になります。

※本記事の内容は、記事作成時点で公表されている厚生労働省の統計・資料等に基づく一般的な情報です。

参考資料

村岸 理美