新たな1年がはじまりましたが、今年の家計プランを立てようとされる方もいるかもしれません。筆者はFPとして住宅ローンの返済計画や教育資金の相談を受けてきましたが、その際、あわせて確認するのが「世帯主に万が一があった際のリスク管理」です。その備えの柱となるのが「障害年金」ですが、実は多くの方が「一度認定されたら一生もらえる」と誤解されています。

実は、障害年金は障がいの程度や状態の変化に応じて、数年ごとに更新期間が設けられるのが一般的です。

公的年金の中でも、病気や障がいで生活に制約がある人を支えるものが「障害年金」です。今回は最新の統計調査をもとに、令和7年度の支給額や、意外と知られていない「再認定」のリアルな期間設定について、制度のポイントを分かりやすく解説します。

1. 「いくらもらえる?」障害年金と障害年金生活者支援給付金、給付額の目安

障害年金は、加入している年金制度によって「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2階建て構造になっています。令和7年4月分からの改定額を確認しましょう。

障害年金は2階建て2/8

障害年金は2階建て

筆者作成

1.1 障害基礎年金(自営業・フリーランス・会社員共通)

障害基礎年金の年金額(令和7年4月分から)3/8

障害基礎年金の年金額(令和7年4月分から)

出所:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

おもに1級と2級があり、令和7年4月からは以下の金額が設定されています。

  • 1級:年額103万9625円(昭和31年4月1日以前生まれの方は103万6625円)
  • 2級:年額83万1700円(昭和31年4月1日以前生まれの方は82万9300円)

18歳到達年度末までの子がいる場合、第2子までは各23万9300円、第3子以降は各7万9800円がプラスされます。

1.2 障害厚生年金(会社員・公務員など)

障害厚生年金の年金額(令和7年4月分から)4/8

障害厚生年金の年金額(令和7年4月分から)

出所:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」

令和7年4月からの障害厚生年金は、主に会社員や公務員を対象とした制度で、基本的な年金額は、加入期間中の収入などで決まる「報酬比例」で計算されます。

  • 1級:報酬比例の1.25倍+配偶者加給(23万9300円)
  • 2級:報酬比例+配偶者加給
  • 3級:報酬比例(最低保障額※:約62万3000円)
    ※物価変動などにより毎年度変動する

3級に満たない軽い障害の場合、一時金の「障害手当金」が支給されることもあります。

1.3 障害年金生活者支援給付金(所得などの一定要件を満たす場合)

障害年金生活者支援給付金は、消費税増税(2019年)に伴う物価上昇の影響から、生活に特に配慮が必要な方の暮らしを支えるために設けられた制度です。この給付金は、障害基礎年金を受給している方のうち、所得が一定基準以下の方を対象として、通常の年金に上乗せして支給されます。

障害基礎年金を受給されている方へ

障害基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」

 

月額支給額の目安(障害等級別)

  • 1級:6813円
  • 2級:5450円

2. 「一生もらえるとは限らない」障害年金の更新期間とは?

「障害年金は一生もらえる」とは限りません。日本年金機構の最新統計(令和5年度決定分)を見ると、更新手続きの頻度がわかります。

2.1 はじめての受給(新規裁定)「3年以内」の更新が多い

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数5/8

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」

初めて受給が決まった際、約6割の人が「1〜3年」という短い期間で次の診断書提出(更新)を求められています。

  • 更新期間2年・3年:合計で約58%
  • 永久固定(更新なし):わずか8.5%

つまり、初期段階では「状態が変化する可能性がある」と判断されることが一般的です。

2.2 継続受給中(再認定)でも「3年」と「5年」更新が多い

令和5年度【再認定】更新期間別支給件数6/8

令和5年度【再認定】更新期間別支給件数

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」

数回の更新を経て状態が安定してくると期間は延びる傾向にありますが、それでも「永久固定」と認定される人は全体の約17.7%に留まります。

  • 更新期間3年・5年:合計で約73.4%

多くの受給者が、数年ごとに「今の状態」を医師に証明してもらい、再審査を受けることになります。

3. 「申請前に知っておきたい」障害年金《3つの支給要件》

障害年金は、病気やけがによって障がいの状態になり、そのために仕事や生活が著しく制限を受けるようになったとき、生活を支えるために国から支給される制度です。公的年金は老齢年金だけでなく、現役世代の「もしも」を支える障害年金や遺族年金としても重要な役割を果たします。

「障がいの状態」には、肢体不自由や視覚・聴覚障害だけでなく、がんや糖尿病などの内部疾患、統合失調症などの精神の障害も含まれますが、障害者手帳の有無は問いません。

また障害年金には、加入制度により障害基礎年金と障害厚生年金があり、受給するには初診日(障がいの原因となった病気で初めて医師の診察を受けた日)の時点で、一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。

3つの支給要件

  1. 初診日要件:障がいの原因となった病気で初めて受診した日に、年金制度に加入していること。
  2. 保険料納付要件:初診日の「前日」時点で、それまでの期間に一定以上の納付(または免除)があること。
  3. 障害認定日要件:初診から1年6ヶ月経過した時点で、国が定める障害等級に該当していること。

支給の可否は、その障害が日常生活や労働にどの程度支障をきたしているかという機能的な制限の度合いに基づいて、障害等級表(1級〜3級)により判断されます。この制度は、障がいにより生活が困難になった方を経済的に支援することを目的としています。

4. まとめにかえて

今回は、障害年金の最新の支給額と、定期的な「再認定」の重要性について解説しました。 令和7年度の改定により支給額が微増しますが、あくまでこの制度は「今の状態」を支えるためのものです。数年ごとの更新が前提であると認識しておく必要があります。

もし自身や家族が受給を検討する場合は、まずは「初診日」の証明ができるか、年金の納付状況に問題はないかを早めに確認しましょう。将来の家計の安定を守るために、公的なセーフティネットの仕組みを正しく把握することが大切です。

参考資料

村岸 理美