厚生労働省は、障害のある方が地域社会で自立した生活を送り、社会参加を果たすための支援を目的として「障害者手帳」の制度を設けています。障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類に区分されています。制度の根拠となる法律はそれぞれ異なりますが、いずれの手帳を持っていても障害者総合支援法に基づく支援の対象となり、税制優遇や公共料金の割引など共通の支援策に加え、自治体や事業者が独自に用意するサービスを受けられる点も共通しています。

3種類の障害者手帳について

3種類の障害者手帳について

出所:厚生労働省「障害者手帳」

今回は、このうち精神障害者保健福祉手帳について、厚生労働省の最新統計をもとに所持者数の推移や等級の内訳を確認したうえで、障がい者の就労支援施策の現状もあわせて整理します。

1. 【精神障害者保健福祉手帳】所持者154万人超で5年連続増加「2級」が全体の約6割

精神障害者保健福祉手帳の交付状況は「交付台帳登載数」として集計されています。厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」によると、有効期限切れを除いた登載数は令和6年度末時点で154万7433人となり、前年度から10万9340人(7.6%)増加しました。

「精神障害者保健福祉手帳」交付台帳登載数1/3

「精神障害者保健福祉手帳」交付台帳登載数

出所:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況・精神保健福祉関係」

過去5年間、登載数は一貫して増加を続けており、精神障害者保健福祉手帳の取得が着実に広がっていることがうかがえます。

1.1 「2級」が最多、全体の約6割を占める

等級別にみると、令和6年度末時点で最も多いのは2級の89万7292人で、全体の約6割をを占めています。前年度からの増加率がもっとも高かったのは3級で、10.0%増と目立った伸びを示しました。

等級は、精神疾患の状態と日常生活・社会生活への影響の両面から総合的に判定されます。厚生労働省の用語定義によると、それぞれの目安は次のとおりです。

「1級」とは、他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない程度、「2級」とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活が困難な程度、「3級」とは、日常生活又は社会生活に制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度をいう。

出所:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況・用語の定義」

この等級区分は、一人ひとりの状態に応じた支援策を検討するうえでの基準となっており、手帳を申請・更新する際には自分がどの等級に該当するのか、主治医の診断書等をもとに確認しておくとよいでしょう。

村岸 理美

障害者手帳と障害年金は「別の制度」

家計の相談をお受けする中でよくある誤解が、「障害者手帳を持っていれば、自動的に障害年金(病気やケガで生活や仕事が制限される場合に受け取れる国の年金)がもらえる」というものです。

これらは根拠となる法律や審査機関が異なる別の制度です。障害者手帳は各自治体(都道府県など)が認定を行いますが、障害年金は日本年金機構が審査を行います。そのため、手帳が2級であっても障害年金の2級に該当するとは限らず、逆に手帳を持っていなくても障害年金を受給できるケースがあります。まずは主治医や年金事務所、市区町村の窓口へ相談し、ご自身の状況でどの制度が活用できるかを確認してみましょう。