2. 【後期高齢者医療制度】保険料は「世帯から個人へ」3つの計算ルールと軽減措置
切り替えで大きく変わるのが保険料の考え方です。
2.1 世帯単位から個人単位へ
後期高齢者医療の保険料は、被保険者一人ひとりにかかります。世帯主がまとめて納める国民健康保険とは、賦課の単位が違います。
厚生労働省の資料によると、保険料額は被保険者全員が負担する均等割と、所得に応じて負担する所得割で構成されます。世帯の所得が一定以下の場合には、均等割の7割・5割・2割が軽減される仕組みも設けられています。
保険料率は都道府県ごとの広域連合が決めますので、住む地域によって額は変わります。東京都の場合、保険料は医療分と子ども・子育て支援金分で構成されています。
2.2 窓口負担割合は世帯の状況もみる
医療機関での窓口負担割合は1割・2割・3割に分かれます。判定には本人の所得だけでなく、同じ世帯の被保険者の課税所得や収入も使われます。
この点について、LIMOの記事「【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説」から要点を引用しておきます。
そのため、「本人の収入が少ないから自己負担も軽い」とは限らない点に注意が必要です。
出所:【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説
ご相談では、切り替えの手続きが要らないと聞いて安心してしまう方がいます。手続きが不要なのは本人の資格の部分で、保険料や家族の加入までそのままではありません。
3. 被扶養者だった方には2年間の軽減がある
保険料の負担がなかった方にとっては、ここが一番の変化になります。
3.1 これまで負担がなかった方も納める側になる
会社員の子どもや配偶者の健康保険に被扶養者として入っていた方は、それまで保険料の負担がありませんでした。75歳からは自分が被保険者になりますので、保険料を納めることになります。
世帯としての支出はここで増えます。年金の手取りを見積もるときに抜けやすい部分ですので、75歳を迎える前に見込みを立てておくと安心です。
3.2 軽減の中身と期間
厚生労働省の資料によると、元被扶養者については75歳に到達後2年間に限り、所得にかかわらず均等割が5割軽減され、所得割は賦課されません。元被扶養者とは、後期高齢者医療制度に加入する前日に被用者保険の被扶養者であった方を指します。
東京都後期高齢者医療広域連合も、均等割額は加入から2年を経過する月まで5割軽減、所得割額は負担なしとしています。裏を返せば、3年目からは軽減のない額になるということです。
2年で軽減が切れることを知らないまま家計を組んでいると、あとから負担が増えたように感じられます。切り替えの時期をあらかじめ書き留めておくとよいでしょう。
4. 保険料は原則として年金から引かれる
納め方についても確認しておきます。
4.1 天引きの対象になる条件
東京都後期高齢者医療広域連合によると、保険料は原則として公的年金からの天引きで納めます。対象になるのは、公的年金の受給額が年18万円以上の方です。
ただし、介護保険料と後期高齢者医療の保険料の合算額が、1回あたりの年金受給額の2分の1を超える場合は対象外となります。この場合は納付書や口座振替で納めることになります。
4.2 口座振替に変えることもできる
申し込みにより、天引きから口座振替に変更することもできます。口座は本人名義だけでなく、世帯主や配偶者などの名義も指定できるとされています。
なお、国民健康保険料の口座振替はそのまま引き継がれません。これまで口座振替で納めていた方も、あらためて申し込みが要ります。
5. 75歳未満の配偶者は「国民健康保険」への手続きが必須
見落とされやすいのが、残された家族のほうの手続きです。
5.1 扶養から外れる人が出る
夫が75歳になって後期高齢者医療制度に移ると、その健康保険の被扶養者だった75歳未満の妻は、被扶養者ではなくなります。東京都後期高齢者医療広域連合は、この場合に国民健康保険などへの加入手続きが必要になると案内しています。
本人の切り替えには手続きが要らないのに、配偶者のほうには手続きが要る。この非対称が、そのままになりやすい理由だと感じています。
5.2 世帯で並べて確認しておく
手続きは市区町村の窓口で行います。夫婦の年齢が離れている世帯ほど、この期間が長くなりますので、保険料の負担も含めて事前に見ておきたいところです。
保険料率や軽減の判定は地域や年度で変わります。実際の額や手続きの詳細は、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の担当窓口か、都道府県の広域連合に確認してみてください。
6. まとめにかえて
後期高齢者医療制度の資格を取得するのは75歳の誕生日当日からで、加入の手続きは必要ありません。書類は誕生日までに市区町村から届きます。
保険料は被保険者一人ひとりにかかり、均等割と所得割で計算されます。被扶養者だった方は75歳到達後2年間に限り、均等割が5割軽減され所得割はかかりません。
そして、扶養から外れる75歳未満の配偶者には、国民健康保険などへの加入手続きが必要です。切り替えの時期が近づいたら、世帯全員の保険がどうなるかを並べて確認しておきましょう。
参考資料
村岸 理美
