4. 相続税の課税割合は10.4%に上がった
所得だけでなく、資産を引き継ぐ場面の統計も国税庁が公表しています。こちらは令和7年12月に令和6年分の結果が出ました。
4.1 亡くなった160万5378人のうち、16万6730人が対象になった
令和6年分の被相続人数、つまり亡くなった方の数は160万5378人でした。そのうち相続税の申告書の提出があったのは16万6730人です。
課税割合は10.4%で、前年の9.9%から0.5ポイント上がりました。亡くなった方のおよそ10人に1人が相続税の申告の対象になっている計算です。
4.2 1人当たりの課税価格は1億4025万円、税額は1946万円
課税価格の総額は23兆3846億円で、前年から8.1%増えました。申告税額の総額は3兆2446億円で8.0%の増加です。
被相続人1人当たりで見ると、課税価格は1億4025万円、税額は1946万円になります。どちらも前年をわずかに上回りました。
5. 純金融資産1億円以上は165.3万世帯
世帯単位で富裕層をとらえた推計もあります。野村総合研究所が2025年2月13日に公表したものです。
5.1 富裕層153.5万世帯、超富裕層11.8万世帯
同社は純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の世帯を富裕層、5億円以上の世帯を超富裕層と分類しています。2023年の推計では富裕層が153.5万世帯、超富裕層が11.8万世帯でした。
純金融資産保有額とは、預貯金や株式、債券、投資信託、一時払いの生命保険や年金保険などを合計し、そこから負債を差し引いたものです。
5.2 2年で11.3%増え、純金融資産の総額は469兆円
富裕層と超富裕層を合わせると165.3万世帯で、2021年の148.5万世帯から11.3%増えました。両者が保有する純金融資産の総額は469兆円で、2021年の364兆円から28.8%の増加です。
世帯数の伸びより資産総額の伸びが大きく、1世帯あたりの資産が膨らんだことが分かります。
6. 家計調査で見る、貯蓄の上位2割
身近な統計でも、上位層の姿は確認できます。総務省統計局の家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果を、貯蓄現在高の五分位階級で見てみましょう。
6.1 上位2割の平均は6113万円、下位2割は102万円
二人以上の世帯を貯蓄現在高の順に5つに分けると、上位2割の平均は6113万円、下位2割の平均は102万円です。差はおよそ60倍になります。
負債現在高は上位2割が436万円、下位2割が705万円でした。貯蓄が少ない層のほうが負債は多いという形になっています。
6.2 上位2割は有価証券が27.0%を占める
貯蓄の中身も違います。上位2割では有価証券の構成比が27.0%、通貨性預貯金が31.0%です。
下位2割では有価証券が6.9%にとどまり、通貨性預貯金が57.8%を占めます。資産が多い層ほど、値動きのあるものを組み入れている割合が高くなっています。
7. まとめにかえて
確定申告をした515万8000人のうち、合計所得金額が1億円を超えたのは3万2000人でした。この階級の所得税および復興特別所得税の負担割合は21.1%です。
令和7年分からは基準所得金額が3億3000万円を超える部分について、22.5%を基準とする計算が加わりました。分離課税の20.315%を意識した水準といえます。
相続税の課税割合も10.4%まで上がっています。所得と資産のどちらについても、当てはめはご自身の状況で変わりますので、判断に迷う点は税務署や税理士に確認してください。
参考資料
- 国税庁「令和6年分 申告所得税標本調査(調査結果報告)」
- 国税庁「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置について」
- 国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」
- 野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果(二人以上の世帯)」
中本 智恵