国税庁が2026年2月に公表した令和6年分申告所得税標本調査によると、確定申告をした人は515万8000人でした。そのうち合計所得金額が1億円を超えたのは約「3万2000人」で、全体の0.6%にあたります。
この階級の所得税および復興特別所得税の負担割合は21.1%でした。申告者全体の15.3%は上回りますが、所得税の最高税率45%からは離れた水準です。
「所得が大きい人ほど、もっと納めているのでは」と思っていた方もいるのではないでしょうか。
この記事では、申告所得税の統計から富裕層と呼ばれる層の人数と税の負担割合を確認します。
- 令和6年分の申告所得税で、合計所得金額1億円超は約3万2000人。申告人員515万8000人の0.6%にあたる
- 所得税および復興特別所得税の負担割合は、申告者全体で15.3%、1億円を超える階級で21.1%
- 令和7年分からは、基準所得金額が3億3000万円を超える部分に22.5%を基準とする上乗せの仕組みが適用される
1. 合計所得金額1億円超は3万2000人。申告した人の0.6%
申告所得税標本調査は、確定申告をした人を対象に国税庁が毎年まとめている統計です。所得の階級ごとに人数や税額が分かります。
1.1 申告人員は515万8000人で、前年から22.8%減った
令和6年分の申告人員は515万8000人でした。前年の668万5000人から152万7000人、22.8%減っています。
一方で合計所得金額は51兆2284億円と2.8%増え、所得税額は7兆8539億円で9.2%増えました。申告する人が減った年に、所得と税額はどちらも増えたことになります。
1.2 最も多いのは300万円超500万円以下の階級
階級別に見ると、300万円超500万円以下が140万2000人で最も多く、全体の27.2%を占めます。次いで500万円超1000万円以下が130万7000人、25.3%です。
合計所得金額が1億円を超えるのは、申告した人の0.6%にあたる3万2000人1/2
出所:国税庁「令和6年分申告所得税標本調査」をもとにLIMO編集部作成
5000万円超1億円以下は6万1000人で1.2%、1億円超は3万2000人で0.6%です。この2つを合わせても、申告した人の1.8%にとどまります。
2. 所得税の負担割合は全体15.3%、1億円超で21.1%
次に、所得に対してどれくらい税を納めているのかを見ていきます。国税庁はこれを負担割合として示しています。
2.1 100万円以下は1.4%、ただし1億円を超えると低下する
申告者全体の所得税および復興特別所得税の負担割合は15.3%でした。合計所得金額100万円以下の階級では1.4%ですが、ピーク(5,000万円超1億円以下で26.2%)を迎えた後、1億円を超える階級では21.1%に低下します。
高所得者ほど負担率が下がるこの現象は「1億円の壁」と呼ばれています。
2.2 最高税率45%に届かないのは、分離課税があるため
所得税の税率は所得に応じて5%から45%まで段階的に上がります。しかし株式などの譲渡所得や配当所得は、給与や事業の所得とは分けて計算する分離課税の対象です。
分離課税の国税率は所得の大きさにかかわらず一定(15.315%、住民税を含めると20.315%)であるため、こうした所得の割合が高い超富裕層ほど、全体で見た負担割合が抑えられる構造になっています。
3. 令和7年分から「3億3000万円超」に上乗せの仕組みが開始
この構造に対応するため、令和7年分(2025年分)以後の所得税(令和8年以降に行う確定申告)から新しい措置が適用されます。名称は「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」です。
3.1 超える部分の22.5%と、基準所得税額を比べる
基準所得金額が3億3000万円を超える方が対象です。超える部分の金額に22.5%を掛けた金額を計算し、その年分の基準所得税額と比べます。
基準所得金額が3億3000万円を超えると、22.5%を基準とする計算が加わる2/2
出所:国税庁「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置について」をもとにLIMO編集部作成
基準所得金額とは、総所得金額と分離課税の各種所得金額を合計したものです。申告不要制度を選べる上場株式等の配当所得や譲渡所得等も含めて計算します。
3.2 超える部分の22.5%と、基準所得税額を比べる
合計所得などからなる「基準所得金額」が3億3000万円を超える方が対象です。3億3000万円を超えた部分の金額に22.5%を掛けた金額と、従来の方法で計算した基準所得税額(国税分)を比べます。
3.3 差額があれば確定申告で加算する
22.5%で計算した金額が基準所得税額を上回る場合、その差額を所得税の額に加算して確定申告します。下回る場合は加算されません。
分離課税の税率が20.315%であることを考えると、22.5%という水準はその少し上に置かれた下限のような役割を果たしています。
