2. 「生活が苦しい」は高齢者世帯で52.1%—全世帯より低い理由
家計の実感を、意識調査からみてみましょう。厚生労働省の2025年(令和7年)国民生活基礎調査によると、全世帯で生活が「苦しい」(「大変苦しい」+「やや苦しい」)と答えた割合は55.4%。半数を超える世帯が、暮らしを苦しいと感じています。
なお、これは先のJ-FLECとは別の調査です。
2.1 高齢者世帯の「生活が苦しい」は52.1%
では高齢者世帯はどうでしょうか。「大変苦しい」が21.0%、「やや苦しい」が31.1%で、合計52.1%。全世帯の55.4%を3.3ポイント下回ります。
背景には、住宅ローンや教育費といった大きな支出を終えた世帯が含まれることが考えられます。とはいえ、収入の水準が高いわけではありません。
同じ調査では、高齢者世帯の平均所得は336.1万円(うち公的年金・恩給が205.9万円)。全世帯の575.2万円を下回ります。収入は全体の6割ほどでありながら、苦しさの実感は全体より小さいという形です。その一因として先ほどの貯蓄などがあるでしょう。
2.2 他人と比べず、月の生活費で自分の現在地をみる
大切なのは、他の世帯と比べて安心したり落ち込んだりすることではなく、自分の収支をみることです。苦しいと感じる世帯が過半数という前提のうえで、支出のどこに重さがあるのかを確かめる。そこから手をつけることが、実感を変える一歩になります。
3. 元証券会社員からのアドバイス
70歳代おひとりさまの貯蓄は、平均1489万円・中央値500万円でした。ひとりの家計だからこそ、蓄えを整理し、計画的に使うことが安心につながります。
一つ目は、1か月の支出を一度洗い出すこと。年金でまかなえている分と、貯蓄から補っている分を分けてみると、「実質でいくら足りないか」がはっきりします。
二つ目は、物価高に効く固定費を見直すこと。電気・ガスの料金プランや通信費は、一度手を打てば節約が毎月続き、値上げの影響をやわらげてくれます。
三つ目は、使う銀行口座を1つか2つに絞ること。残高の把握と引き出しがしやすくなり、体力や判断力が変わってきても安心です。年金の受け取りと支払いをまとめておきましょう。
苦しいと感じる世帯は全体でも過半数という多さにはなっています。
大切なのは比べることではなく、自分の収支を知ること。年金でまかなえている分と、貯蓄から補っている分を分けてみると、実質でいくら足りないかがはっきりします。そのうえで、電気・ガスや通信といった固定費を一度見直せば、暮らしの質を落とさずに毎月の負担を軽くできる場合もあるでしょう。一度自身の固定費を洗い出して確認し、プランの見直しはしてみてくださいね。
また、口座を1つか2つにまとめておけば、管理もぐっと楽になります。その中で日常で使う費用や旅行にレジャー用、車や家電の買い替え、介護医療費などを分けて管理するといいでしょう。
数字に一喜一憂せず、手をつけられるところから始めれば、実感は少しずつ変わっていきます。
4. まとめにかえて
今回は、70歳代おひとりさまの平均貯蓄額1489万円・中央値500万円を確認しました。貯蓄がない人が2割いる一方、2000万円以上の人も25.4%。実感に近いのは中央値のほうです。
家計の実感については厚生労働省「2025年(令和7年)国民生活基礎調査の概況」によれば、高齢者世帯で「生活が苦しい」と答えた割合は52.1%と、全世帯の55.4%を下回りました。苦しいと感じる世帯は全体でも過半数で珍しいことではありません。数字は不安をあおるためではなく、家計を見直すきっかけとして受け止めたいところです。
今日から家計に向けてできることは3つです。まず、1か月の支出を洗い出し、年金でまかなえる分と貯蓄から補う分を分けて「実質いくら足りないか」を知ること。次に、電気・ガスや通信費など固定費を見直すこと。
そして、使う口座を1〜2つに絞って管理しやすくすること。他人と比べず、自分の収支から手をつけて、わが家のペースで整えていきましょう。
参考資料
宮野 茉莉子
