3. 令和8年度税制改正で源泉徴収の対象が214万円未満に上がる

ここからは、この分布に税金のラインを重ねて見ていきます。

3.1 65歳以上は205万円未満から214万円未満へ

日本年金機構によると、令和8年度税制改正で所得税の基礎控除が引き上げられたことにともない、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が現行の205万円未満から214万円未満に引き上げられました。65歳未満は155万円未満から164万円未満になります。

年214万円は、月額に直すと約17万8000円です。分布で見ると、月18万円以上の人は年216万円以上になるため、この水準を超えます。該当するのは501万7176人で、全体の31.2%にあたります。

3.2 令和8年分は12月に精算される

改正の反映には時期のずれがあります。日本年金機構は、令和8年11月の年金支払いまでは改正前の基礎的控除額を用いて源泉徴収を行うとしています。

そのうえで、令和8年12月の年金支払い時に、改正後の基礎的控除額で計算した1年分の税額と、すでに源泉徴収した税額との精算を行うとしています。12月の振込額がふだんと違っても、この精算による場合があります。

4. 扶養親族等申告書が届く人の範囲が広がる

もうひとつ、令和8年度税制改正では申告書に関する変更もあります。

4.1 個人住民税の控除を受ける場合も提出が必要になる

これまで所得税の源泉徴収の対象となる人が提出していた「扶養親族等申告書」について、年金受給者が個人住民税の各種控除を受けようとする場合も、日本年金機構へ提出することとされました。

なお、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件は62万円に引き上げられています。

4.2 65歳以上は148万円以上、65歳未満は98万円以上に送られる

日本年金機構は、65歳以上の場合は年金額148万円以上の人、65歳未満の場合は年金額98万円以上の人に対して、令和9年分の「扶養親族等申告書」を令和8年10月より順次送るとしています。

年148万円は月額にすると約12万3000円です。厚生年金の分布では月13万円以上の人が986万8254人いて、全体の61.3%を占めます。この人たちは年156万円以上になるため、送付の対象に入ります。

5. 額面と手取りは違うものとして考える

年金から差し引かれるのは所得税だけではありません。

5.1 天引きされたあとが手取りになる

この点について、LIMOの記事「「厚生年金と国民年金」から《天引きされる4つのお金》とは?税金や社会保険料などの控除額が記載された「年金振込通知書」も解説」から要点を引用しておきます。

年金は、支給額から所得税や住民税、介護保険料などが天引きされたものが「手取り額」となります。

出所:「厚生年金と国民年金」から《天引きされる4つのお金》とは?税金や社会保険料などの控除額が記載された「年金振込通知書」も解説

6. まとめにかえて

厚生年金の平均月額は15万289円、国民年金は5万9310円でした。厚生年金の分布では、月10万円未満が19.0%、月20万円以上が18.8%とほぼ同じ大きさになっています。

令和8年度税制改正では、源泉徴収の対象とならない年金額が214万円未満に引き上げられました。月額にすると約17万8000円のラインです。

自分の年金額はねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。まずは額面を押さえたうえで、そこから何が引かれるのかを年金振込通知書で見ておいてください。

参考資料

和田 直子