3. 年金生活者支援給付金に税金はかかる?

ここで気になるのが、受け取った給付金に税金がかかるのかという点です。

結論から書くと、かかりません。年金生活者支援給付金の支給に関する法律の第33条は「租税その他の公課は、年金生活者支援給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない」と定めています。

3.1 源泉徴収票は送付されない

この扱いは、届く書類にも表れます。

日本年金機構は「年金生活者支援給付金の源泉徴収票は送付されません」と案内しており、その理由として給付金が所得税および復興特別所得税の課税対象となっていないことを挙げています。年金については源泉徴収票が届くのに、給付金では届かないのはこのためです。

3.2 受給権は譲り渡すことも差し押さえることもできない

同じ法律には、受け取る権利そのものを守る規定もあります。

第32条は、給付金の支給を受ける権利について、譲り渡し、担保に供し、または差し押さえることができないと定めています。第30条では、権利を行使できる時から2年を経過すると時効によって消滅するとされています。

公課の禁止・受給権の保護・時効。法律が定める年金生活者支援給付金の3つの扱い3/3

年金生活者支援給付金の支給に関する法律の第33条・第32条・第30条の内容を並べた図

出所:e-Gov法令検索「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」をもとにLIMO編集部作成

中本 智恵
通帳に見慣れない入金があると、これは何かと尋ねられることがありました。同じ日に2件並んでいるときは、それぞれ性格の違うお金だと考えると読み解きやすくなります。

4. 通帳に並ぶ2件の入金は、性格がまったく違う

ここからは、通帳を見る側の目線で整理していきます。

銀行で窓口を担当していた頃、入金の記録について尋ねられることは少なくありませんでした。金額だけを見て前回と比べ、増えたか減ったかを気にされる方に何度も接しています。

ただ、金額の増減だけを追っていると読み違えが起きます。年金の入金額は保険料や税金が差し引かれたあとの金額なので、天引きされる項目が動けば年金額そのものが変わっていなくても入金額は変わります。

一方の給付金は、差し引かれる項目がありません。給付金支払額がそのまま口座に入るため、入金額が動いたときは給付金の額そのものが変わったことを意味します。

同じ日に並ぶ2件でも、読み方はこれだけ違います。どちらの入金なのかを見分けておくと、家計の見通しを立てるときに迷いが減るでしょう。

5. 給付金がいくら振り込まれたかはどこで見る?

給付金の額を確かめる方法はいくつかあります。

5.1 2つの振込通知書を並べて見る

いちばん確実なのは、手元にある2つの振込通知書を並べることです。年金振込通知書の控除後振込額と、給付金振込通知書の振込額を足した金額が、その支払日に口座へ入る合計になります。

なお、年金振込通知書の8月以降の額は予定額として6月の額が記載されています。給付金の額や受取金融機関に変更があった場合は、給付金振込通知書もその都度届きます。

5.2 源泉徴収票に給付金は載らない

1年分をまとめて見たいとき、公的年金等の源泉徴収票を使う方もいます。ただし、ここに給付金の額は載りません。

給付金は非課税で源泉徴収票が送付されないため、1年間に受け取った給付金の額を知るには振込通知書か通帳の記録をたどることになります。書類は保管しておくほうが後々見返しやすくなります。

6. 年金生活者支援給付金は担保にできず、差し押さえもできない

税金がかからないと聞くと有利な面ばかりが目につきますが、注意したい点もあります。

法律第32条により、給付金を受ける権利は譲り渡すことも担保に供することもできません。将来受け取る給付金を見込んで借入の担保にする、といった使い方はできない性質のお金です。

公的年金についても同様に、法律で差し押さえが制限されています。銀行で融資を担当していた頃も、公的年金のように法律で保護された収入は担保として扱えないものという前提で考えていました。

6.1 時効は2年

もう一つ、期限の定めがあります。

第30条により、給付金の支給を受ける権利は、行使できる時から2年を経過すると時効によって消滅します。請求が遅れた場合にさかのぼって受け取れる範囲には限りがあるということです。

請求書が届いたら早めに出しておくほうが、受け取れる分を取りこぼしにくくなります。

7. 年金生活者支援給付金は「上乗せ」として引かれずに残る仕組み

ここまで、給付金の振り込まれ方と2つの通知書の違い、そして税金の扱いを見てきました。

給付金は偶数月の15日に、年金と同じ受取口座へ年金とは別途支払われます。振込通知書に天引きの欄がなく、法律でも租税その他の公課を課すことができないと定められているため、支払額がそのまま手元に残ります。

一方で、担保にできず差し押さえもできないという性質があり、権利は2年で時効にかかります。有利な面と制約の両方を知っておくと、受け取ったあとの扱いに迷いません。

まずは9月に届く請求書と、手元の振込通知書を確かめてみてください。通帳の2件の入金がそれぞれ何なのかがわかると、家計の全体像もつかみやすくなります。

なお、自分が支給要件を満たすかどうかは、世帯全員の市町村民税の課税状況や前年の所得によって結論が変わります。判断に迷う場合は、給付金の請求や支給については年金事務所やねんきんダイヤル、給付金専用ダイヤル、住民税の課税状況については市区町村の窓口に確認しておくと安心です。

参考資料

中本 智恵