4. 年金生活者支援給付金の誤解4「一度もらい始めたら一生続く」

受け取り始めたあとの扱いにも思い違いがあります。

4.1 2年目以降の手続きはいらない

日本年金機構は、引き続き支給要件を満たしている場合、翌年以降の手続きは原則不要としています。毎年、市町村から本人と世帯員の前年所得の情報の提供を受けて、引き続き該当しているかを確認しているためです。

4.2 ただし要件を外れれば止まる

手続きが不要なのは、要件を満たし続けている限りです。所得が増えたり、世帯に課税される方が加わったりして要件を外れれば支給は止まります。

そして一度受け取れなくなった方が、その後ふたたび要件を満たした場合は、あらためて請求の手続きが必要になります。自動では戻りません。世帯の状況が変わったときは、対象になっていないかを確かめてみてください。

5. 年金生活者支援給付金の誤解5「年金と合算して1本で振り込まれる」

最後は振込のされ方です。

5.1 通帳には2つの記録が並ぶ

給付金は年金と同じく年6回、偶数月の15日に支払われます。15日が土曜・日曜・祝日の場合は直前の平日に前倒しされます。

支払われるのは年金と同じ口座、同じ日ですが、年金とは別に振り込まれます。そのため通帳には2つの振込記録が並びます。年金の金額だけを見ていると、給付金が入っていることに気づかないこともあります。

各支払月には前月までの2カ月分がまとめて支払われます。たとえば10月には8月分と9月分、12月には10月分と11月分です。

6. その給付金は、どこから支払われているのか

誤解を整理したところで、財源も見ておきます。年金も給付金も、年金特別会計から支払われています。

6.1 令和7年度の厚生年金保険は1兆7653億円の黒字

厚生労働省が2026年8月に公表した「令和7年度 厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要」によると、厚生年金保険の歳入は53兆3210億円で前年度から2兆9672億円増えました。歳出は51兆5557億円で、前年度から4兆2755億円の増加です。

差し引きすると1兆7653億円の黒字ですが、前年度の3兆735億円からは縮んでいます。歳出の伸びが歳入の伸びを上回っているためです。

6.2 積立金は288兆9623億円に増えた

時価ベースの積立金は、厚生年金保険が288兆9623億円で前年度末から41兆2005億円の増加、国民年金が13兆6270億円で1兆3132億円の増加でした。給付金の財源はこの会計のなかにあります。

歳出の伸びが歳入の伸びを上回り、差し引きは前年度より縮んでいます2/2

歳出の伸びが歳入の伸びを上回り、差し引きは前年度より縮んでいます

出所:厚生労働省「令和7年度『厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要』を公表します」をもとにLIMO編集部作成

7. そもそも請求しないと受け取れない

5つの誤解の手前に、もうひとつ押さえておきたいことがあります。

7.1 要件を満たしても自動では振り込まれない

この点について、LIMOの記事「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」から要点を引用しておきます。

しかし、この給付金を始めてもらう場合は「条件を満たしていれば勝手に口座へ振り込まれる」というものではありません。対象者へ送られるハガキ(請求書)を自ら返送し、「申請」を行わなければ1円も受け取ることができないのです。

出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説

なお、はがき型の請求書が届いた場合は電子申請でも提出できます。スマートフォンかパソコンとマイナンバーカードで手続きすれば、郵送は不要です。

8. まとめにかえて

老齢年金生活者支援給付金でつまずきやすいのは、世帯の非課税と所得の線が別の要件であること、給付額が年金の少なさではなく保険料を納めた期間で決まること、基準額の月5620円が全員に支払われるわけではないこと、要件を外れれば止まること、そして年金とは別に振り込まれることの5つです。

財源となる年金特別会計は、令和7年度の厚生年金保険で1兆7653億円の黒字、積立金は288兆9623億円まで積み上がっています。ただし歳出の伸びが歳入の伸びを上回っている点は、あわせて見ておきたいところです。

9月に緑の封筒が届いたら、まず開けて中身を確かめてください。自分が対象になるかどうか、金額がいくらになるかで迷う場合は、年金事務所や給付金専用ダイヤルに個別の状況を伝えて確認することもできます。

参考資料

太田 彩子