夏休みの思い出を胸に日常へ戻るこの時期、私たちの関心は一気に「秋以降の家計のやりくり」へと引き戻されます。
博報堂生活総合研究所が2026年8月28日に発表した「来月の消費予報」によると、2026年9月の消費意欲指数は45.7点。前月比で3.4pt低下し、過去5年間の同月で最も低い水準となりました。
その一方で、「二人以上世帯の平均貯蓄が2059万円で過去最高」というニュースも流れています。冷え込む一方の消費マインドと、右肩上がりに見える貯蓄額。このギャップに、違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか。
本記事では、博報堂生活総合研究所の最新調査に、日本銀行・総務省統計局の公的データを掛け合わせ、私たちの「お財布」が置かれている本当の姿と、そこから見えてくる生活防衛の工夫を整理します。
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2026年9月の消費意欲指数は45.7点。前月比3.4pt低下し、過去5年間の同月で最低水準に。
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支出が「増えた」と答えた人は60.3%。うち85.4%は値上げによる、いわば受け身の支出増。
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貯蓄の中央値は1264万円。平均2059万円との差は795万円にのぼる。
1. 消費意欲指数は45.7点。過去5年間の同月で最低水準に
例年9月は、お盆休みや旅行で出費がかさむ8月に比べ、消費意欲がいったん落ち着く季節にあたります。ただ、今年の落ち込みは季節的な「出費疲れ」だけでは説明できません。
博報堂生活総合研究所「来月の消費予報」によると、2026年9月の消費意欲指数は45.7点。前月比では3.4pt、前年同月比でも0.9ptの低下となり、過去5年間の同月(9月)における最低値を記録しました。
- 2026年9月の消費意欲指数:45.7点(前月比▲3.4pt、前年同月比▲0.9pt、過去5年間の同月で最低値)
- 「今月(8月)までに多く使ったのでセーブ」との回答:8月44件→9月114件(約2.6倍)
- 「今後の出費予定のために我慢」との回答:前年同月134件→今年9月163件
- 「物価高・値上げ・円安」への懸念に言及した回答数:2025年9月129件→2026年8月162件→2026年9月156件
自由回答の内容を見ると、夏のレジャー費用を使い切った反動だけでなく、「物価高・値上げ・円安」への懸念に言及する回答が前年を上回る水準で推移していることが分かります。
気候が落ち着き出かけやすくなるはずの秋を前に、生活者は「先の見えない出費に備えて、今は我慢する」という防衛的な姿勢を強めているようです。
2. 支出増を感じる人は6割超。その9割近くが「値上げのため」
この肌感覚は、客観的なデータでも裏付けられています。
日本銀行が公表した「生活意識に関するアンケート調査」(2026年6月調査)によると、1年前と比べて世帯の支出が「増えた」と答えた人の割合は60.3%。そのうち85.4%が、支出増加の理由を「生活関連の物やサービスの値段が上がったから」と回答しています。「自分の収入が増えたから」と答えた人は、わずか4.4%にとどまりました。
総務省統計局が公表した2025年(令和7年)の全国消費者物価指数(CPI)平均を見ても、総合指数は前年比3.2%上昇、生鮮食品を除く総合は3.1%上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)も3.0%上昇と、幅広い品目で値上がりが続いています。
- 1年前と比べて支出が「増えた」と答えた割合:60.3%
- 支出増加の理由が「値段が上がったから」:85.4%/「収入が増えたから」:4.4%
- 2025年(暦年)平均CPI:総合3.2%上昇、生鮮食品を除く総合3.1%上昇、コアコアCPI3.0%上昇(いずれも前年比)
「賃上げ」という言葉が飛び交う一方で、支出増加の理由のほとんどが値上げによるものだという事実は、多くの家庭で「生活が豊かになった」からではなく、「払わざるを得ない」という、いわば非自発的な支出増に追い込まれている現実を映し出しています。
3. 監修者からのコメント
スーパーのレジで会計を見るたびに、以前より支出がかさんでいると感じる方は少なくないはずです。
今回の日銀調査でも、支出が増えたと答えた人の8割超が「値上げのため」と回答しており、暮らし向きが良くなったからではなく、むしろ「払わざるを得ない」という受け身の支出増であることが裏付けられています。
賃上げのニュースが伝えられる一方で、社会保険料や税金の負担増によって手取りの実感が伴いにくいと感じる家庭も少なくありません。夏の行楽シーズンを終え、家計の引き締めを意識し始めるこの時期だからこそ、「何にいくら使っているか」を一度棚卸ししてみることが、秋以降の家計を守る第一歩になりそうです。
