2026年9月現在、働き手不足解消を目的とした「年収の壁」の見直しに伴い、税制改正の具体的な議論や自治体での適用が各地で進んでいます。物価高が家計を圧迫する中、老齢年金を受け取りながらパートやアルバイトで収入を得るシニアの方が増えていますが、その際に気がかりなのが「どこまで働けば住民税非課税世帯を維持できるのか」というボーダーラインではないでしょうか。
本記事では、初心者の方向けに住民税非課税世帯の基本要件を確認したうえで、65歳以上・単身・東京23区在住で「年金収入120万円」のモデルケースを想定し、パート収入がいくらまでなら非課税を保てるのかを分かりやすく試算します。
1. 住民税非課税世帯とは?基本となる2つの仕組み
住民税非課税世帯とは、その世帯に属する家族全員の住民税が課税されていない状態を指します。個人が負担する住民税は、大きく分けて次の2つの要素で構成されています。
- 所得割:所得金額に応じて負担するもの
- 均等割:一定の所得を上回る人すべてが定額を負担するもの
この「所得割」と「均等割」の両方が0円(課税されない)になる状態を「住民税非課税」と呼びます。非課税世帯に該当すると、国民健康保険料や介護保険料が大幅に軽減されるなど、老後の生活を支える手厚い公的なセーフティネット(暮らしの安全網)の恩恵を受けやすくなります。
住民税が非課税となるための要件はいくつかありますが、代表的なものは以下の通りです。
- 生活保護法の規定による生活扶助を受けている人
- 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下である人
- 前年の合計所得金額が一定の基準を下回っている人
なお、所得要件の基準は自治体により異なります。
2. 【東京23区・単身】非課税になる所得の目安は「45万円」
先ほど挙げた要件のうち「一定の基準を下回っている」という条件は、お住まいの自治体の物価水準や、扶養している家族の人数によって具体的な金額が変わります。
今回は例として、東京23区にお住まいの場合の基準を見てみましょう。
2.1 扶養親族などがいる場合
35万円 × (本人+同一生計配偶者+扶養親族の合計人数) + 31万円以下
2.2 扶養親族などがいない場合(単身世帯)
45万円以下
ここで注意したいのは、「収入」と「所得」は違うということです。手取り額や額面そのままの総額が「収入」であり、そこから国が定めた経費(控除)を差し引いた残りの金額が「所得」となります。税金の計算には、常にこの「所得」が使われます。
つまり、東京23区に住む単身者の場合、年金やパート代などの収入から各種控除を引いたあとの「合計所得金額」が45万円以下に収まっていれば、住民税は非課税となります。
