高齢者世帯のうち、収入がすべて公的年金・恩給という世帯は41.3%です。裏を返せば、約6割の世帯は年金以外の収入も組み合わせて暮らしていることになります。

本記事では、まず65歳以上の単身無職世帯の家計収支から老後に必要な支出の水準を確かめたうえで、厚生年金の受給額分布と高齢者世帯の所得水準を見ていきます。そのうえで、年金以外の収入がどのような位置づけにあるのかを整理します。

木村 悦朗
老後の収入というと年金の話に集中しがちですが、実際に暮らしている世帯の約6割は別の収入の柱も持っています。柱を何本持てるかによって老後の家計の安定度は変わります。データを見ながら考えていきましょう。

1. 国民年金だけで暮らせるのか。高齢単身無職世帯の収支で確かめる

2026年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額7万608円です。この金額で老後の生活が成り立つのかどうかを、実際の家計の数字から確かめておきます。

総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、2025年における65歳以上の単身無職世帯の実収入は月平均13万1456円でした。

そのうち社会保障給付(主に年金収入)が12万212円と、収入の約9割を占めています。

一方で、消費支出は月平均14万8445円、税金や社会保険料などの非消費支出が1万2990円。収入だけではまかないきれず、差額の約2万9980円が毎月の赤字となっています。

支出の内訳をみると、最も大きな割合を占めるのが「食料費」で28.7%、続いて「その他の消費支出」が21.3%、「教養娯楽費」が10.9%、「光熱・水道」が10.5%となっています。

食費や住居費だけでなく、医療費や交際費まで含めた幅広い支出が積み上がっている姿が見て取れます。

国民年金だけを受け取る場合、満額でも月額約7万円ですから、この支出の水準との間には相当な開きが残ります。

では、厚生年金まで含めると、シニア1人あたりの受給額は実際にどのくらいになるのでしょうか。

2. 厚生年金の分布から見る受給額の実態

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均年金月額は男女全体で15万289円です。この金額には、1階部分にあたる国民年金(老齢基礎年金)の月額部分が含まれています。

受給額ごとの人数分布は次のとおりです。

2.1 厚生年金の受給額ごとの受給権者数

  • 1万円未満:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

月額15万円以上を受け取っている人は、全体の半分に届かない49.8%です。厚生年金を受給していない人まで含めて計算すれば、この割合はさらに下がります。