年金生活者支援給付金は、基礎年金に上乗せして受け取れる給付金です。9月になると、新たに対象となった方へ緑色の封筒で請求書が届きます。
ただ、この給付金は要件も金額の決まり方も少し込み入っています。元公務員としてさまざまな相談を受けていた立場から見ても、思い違いが生まれやすい制度だと感じます。
この記事では、老齢年金生活者支援給付金についてよくある5つの誤解を、日本年金機構と厚生労働省の資料で一つずつ確かめていきます。
- 世帯全員が非課税でも、所得80万9000円以下という線を同時に満たす必要がある
- 給付額は年金が少ないほど増えるのではなく、保険料を納めた期間で決まる
- 2026年度の基準額は月5620円だが、実際の平均給付月額は4146円
なお、年金生活者支援給付金に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 年金生活者支援給付金の誤解1「世帯員が非課税なら対象になる」
まず、対象になる条件についての思い違いです。
1.1 非課税だけでは足りない
老齢年金生活者支援給付金の対象になるには、3つの要件をすべて満たす必要があります。65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること、同一世帯の全員が市町村民税非課税であること、そして前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が一定額以下であることです。
3つ目の線は、昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円以下です。世帯が非課税であっても、この額を超えていれば対象になりません。
1.2 超えても補足的な給付金がある
ただし、超えたらすべて対象外というわけではありません。80万9000円を超えて90万9000円以下の場合は、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象になります。昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円超90万6700円以下です。
なお、判定に使う所得に、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
2. 年金生活者支援給付金の誤解2「年金が少ない人ほど多く受け取れる」
金額の決まり方についても思い違いがあります。
2.1 決めているのは保険料を納めた期間
給付額は年金額の少なさに応じて増えるものではありません。保険料納付済期間に基づく額と、保険料免除期間に基づく額を合計して決まります。
2026年度は、保険料納付済期間に基づく額が月額5620円に保険料納付済期間を掛けて480月で割った額、保険料免除期間に基づく額が月額1万1768円に保険料免除期間を掛けて480月で割った額です。免除期間分の1万1768円は全額免除・4分の3免除・半額免除の場合で、4分の1免除期間は5884円になります。
つまり、年金が少ない理由が未納によるものであれば、給付金も少なくなります。保険料を納めた期間や免除を受けた期間の長さが、そのまま金額に表れる仕組みです。
3. 年金生活者支援給付金の誤解3「基準額の月5620円がもらえる」
金額そのものについても、受け取り方に幅があります。
3.1 実際の平均給付月額は4146円
2026年度の給付基準額は月5620円です。前年度からプラス3.2%の引き上げになりました。
ただしこれは基準額で、全員がこの額を受け取るわけではありません。厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、2025年3月時点で認定されている老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額は4146円でした。
基準額と実際の平均には1474円の差があります。480月すべてを納付済期間で埋めていなければ、5620円には届かないためです。
自治体で保険料を計算していた頃、世帯全員の課税状況を確認する作業は日常的にありました。この給付金でつまずきやすいのは、非課税であることと所得の判定基準が別の要件だという点です。

