4. 満期が来た定期預金は、そのままになりやすい
ここからは、預金の窓口にいた立場から、統計の数字の裏側で起きやすいことを補足します。
筆者は元銀行員で、窓口業務と預金を担当していました。
4.1 自動継続だと、満期でも手続きは起きない
定期預金には、満期のときに元金や元利をそのまま同じ期間で預け直す自動継続の扱いがあります。
この場合、満期が来ても手続きは発生しません。銀行員だった頃、満期のお知らせが届いても来店されないまま、何年も同じ条件で続いている口座を見ることがありました。
4.2 動かすことが正解とは限らない
ただ、置き場所を変えることが常に良いという話ではありません。
数年内に使う予定があるお金を長い期間の定期預金に固めると、必要になったときに動かしにくくなることもあります。
逆に、しばらく使わないと分かっているお金であれば、期間や金利の条件を確かめてから預け直す判断もできます。まずはご自身の預金がいつ満期を迎えるのかを確かめるところからだと考えます。
5. 【2026年8月から順次】年金振込口座の「意向確認書」が簡易書留で届く
ここからは、この夏から始まっている手続きの話です。貯蓄の置き場所そのものではありませんが、年金が振り込まれている口座に関わる内容です。
日本年金機構は2026年8月から、「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」を簡易書留で順次送付しています。差出人欄には「日本年金機構」と記載されています。
5.1 対象は令和8年4月15日時点で65歳以上の年金受給者
対象は、令和8年4月15日時点で65歳以上(昭和36年4月16日以前生まれ)で年金を受給している方です。
ただし、すでに公金受取口座を登録している方、令和8年4月に年金が支払われなかった方、国外に居住している方、共済組合等からのみ年金を受給している方などは対象外です。
送付は生年月日に応じて順次行われます。昭和36年4月から昭和30年10月までに生まれた方が令和8年8月頃で、最も遅い昭和6年3月以前に生まれた方は令和9年2月頃です。
5.2 45日以内に不同意の申出がなければ同意として取り扱われる
この意向確認書は、いま年金が振り込まれている口座を公金受取口座として登録してよいかを確かめるためのものです。
受け取ってから45日以内に「公金受取口座登録不同意申出書」の返送がない場合は、同意したものとして取り扱われます。
登録を望まない場合は、同封の申出書を切り離し、目隠しシールを貼り、裏面の差出人欄に記入したうえで、記載された返送期限までに返送します。
5.3 デジタル庁に提供されるのは口座の情報
登録される場合、金融機関・支店名・預貯金種別・口座番号・口座名義人氏名の情報がデジタル庁に提供されます。その後、デジタル庁から公金受取口座の登録結果通知が届きます。
デジタル庁によると、公金受取口座は緊急時の給付金のほか、年金や所得税の還付金、児童手当など160種類以上の給付金等の受け取りに利用できるとされています。
5.4 電話やメールで口座番号を聞かれることはない
日本年金機構は、機構・厚生労働省・デジタル庁から電話、SMS、メールで口座番号等の提供を求めることはないとしています。手数料などの金銭を求めることもありません。
届いた書類の内容や手続きの進み方を確かめたいときは、日本年金機構の専用のフリーダイヤル(0120-74-0011)で相談できます。
6. 【2026年8月3日から】大手銀行の普通預金金利は年0.400%に
もう一つ、預金そのものの条件が動いている点にも触れておきます。
6.1 日本銀行は6月に短期金利を1.0%程度へ引き上げた
日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すことを決めました。従来は0.75%程度でした。
6.2 円普通預金の金利は年0.300%から年0.400%へ
これを受けて、大手銀行や地方銀行では2026年8月3日から、円普通預金の金利が年0.300%から年「0.400%」に引き上げられました。
円定期預金の店頭金利についても引き上げが予定されており、対象となる商品や改定後の金利、適用開始日は確定次第あらためて知らせるとされています。
金利の水準は銀行や商品、預入期間によって異なります。手元の通帳や取引のある銀行のお知らせで、いまご自身に適用されている条件を確かめてみてください。
貯蓄額だけでなく毎月の家計収支まで含めて確かめたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。65歳以上無職夫婦「家計赤字と貯蓄2494万円の実態」を最新統計で深掘り。介護サービスは月20万6300円へ
7. まとめにかえて
2025年の家計調査では、世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄現在高は2494万円で、6年ぶりに減少しました。
その中身では定期性預貯金が778万円まで減り、通貨性預貯金の766万円とほぼ並びました。5年前は定期性預貯金が貯蓄の4割を占めていましたので、置き場所の重心が動いていることになります。
平均値は平均値でしかありません。まずはご自身の預金がどこにいくら置かれているのか、満期がいつ来るのかを確かめるところからだと考えます。
判断に迷う場合は、取引のある銀行の窓口で条件を確かめてみてください。この夏から届いている意向確認書のように口座そのものに関わる書類もありますので、内容が分からないときは日本年金機構の専用ダイヤルに確認するのが確実です。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)調査結果(二人以上の世帯)」
- 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果(二人以上の世帯)」
- 日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」
- 日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書をお送りします」
- デジタル庁「公金受取口座登録制度」
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年6月16日)
- 三井住友銀行「各種預金金利の変更について」
- 千葉銀行「円預金金利の引き上げについて」
LIMO編集部家計解説班