高齢者世帯のうち、総所得の8割以上を公的年金・恩給に頼っている世帯は58.4%です。そのうち収入のすべてが年金という世帯が41.3%を占めます。
受け取る額のほうは幅があります。厚生年金の平均年金月額は15万289円ですが、国民年金の満額は月7万608円で、厚生年金の平均に対して47.0%の水準です。
依存度が高い一方で、受け取る額は加入していた制度によって倍近く違ってきます。
本記事では、65歳以上・無職世帯の家計収支を夫婦と単身で比べたうえで、高齢者世帯の収入構成、公的年金の仕組み、厚生年金・国民年金の平均月額と受給額の分布について解説します。
なお、65歳以上世帯の家計収支や年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 高齢者世帯のうち総所得の8割以上を公的年金・恩給に頼る世帯は58.4%
- 収入のすべてが公的年金・恩給という世帯は41.3%
- 国民年金の満額7万608円は厚生年金の平均15万289円の47.0%
1. 【65歳以上・無職世帯】夫婦と単身で毎月の家計収支はどう違うのか
夫婦の世帯と単身の世帯では、不足する額も規模が違います。まずは65歳以上・無職世帯の家計収支を、夫婦と単身の順に確かめます。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入の合計が25万4395円(うち公的年金などの社会保障給付が22万8614円)、支出は消費支出26万3979円と非消費支出3万2850円を合わせて29万6829円。単純計算で毎月約4万2000円が不足し、この収支差が続くと1年間で約50万円、10年間で約500万円の不足となります。
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
続いて単身世帯です。同じく65歳以上の無職世帯について、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から引用します。
65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
2. 高齢者世帯の収入はどこまで年金に頼っているのか
不足分を働いて埋められるかどうかは、収入の構成で変わります。LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」でも触れられている論点です。
厚生労働省が公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態をみていきます。
高齢者世帯全体の所得構成では、「公的年金・恩給」が61.3%を占めます。次に多いのが仕事による収入である「稼働所得」の25.9%で、「財産所得」は5.8%です。
ただしこれは全体の平均値にすぎません。
「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」という世帯が41.3%にのぼります。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
2.1 総所得に占める公的年金・恩給の割合別に世帯構成をみる
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:41.3%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:17.1%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:14.1%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:13.6%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:9.7%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.2%
シニア全体でみれば稼働所得なども一定の割合を占めます。それでも年金受給世帯に絞ると、4割以上が公的年金収入のみで暮らしているという実態が浮かび上がります。
8割以上を年金に頼る世帯まで広げると58.4%、6割以上なら72.5%です。年金以外の収入が総所得の6割を超える世帯は13.9%にとどまります。
3. 【公的年金】1階の国民年金と2階の厚生年金という2階建ての仕組み
その年金がどう組み立てられているかを押さえます。公的年金の基本的な仕組みを、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から引用します。
公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」に例えられます。これは、日本の年金制度が「1階」の国民年金(基礎年金)と、「2階」の厚生年金という2つの制度で構成されているためです。1階部分の国民年金は、原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象で、保険料は所得にかかわらず一律(2026年度は月額1万7920円)。保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額(2026年度は月額7万608円)を受け取ることができます。2階部分の厚生年金は、会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所に勤務し一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入します。保険料は収入に応じて変動し、受給額は加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
4. 【厚生年金・国民年金】平均月額はいくらか
次に、実際に受け取っている額です。厚生年金・国民年金の平均月額を、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から引用します。
厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
5. 受給額を1万円刻みでみると個人差はどこまで開くのか
公的年金は老後の生活を支える大切な収入源です。ただし受給額は年金の加入状況で決まるため、人によって違います。
その個人差がどこまで開くのかをみていきます。
5.1 平均月額からみる厚生年金の個人差
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
※国民年金の金額を含む
5.2 厚生年金の受給権者数を1万円ごとに追う
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
厚生年金の平均年金月額は、男女全体で15万289円です。
男女別にみると男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円ほどの差があります。
分布のほうは「月額1万円未満から30万円以上」まで広がっており、平均はその幅の中の一点にすぎません。
5.3 平均月額からみる国民年金の個人差
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
5.4 国民年金の受給権者数を1万円ごとに追う
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
国民年金の平均年金月額は、男女全体と女性が5万円台、男性が6万円台です。
ボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」です。
個人差の幅は「月額1万円未満~7万円以上」で、厚生年金より狭いかわりに水準そのものが低くなります。
国民年金の満額は2026年度で月7万608円です。厚生年金の平均15万289円と比べると47.0%の水準で、厚生年金の加入期間があるかどうかで受け取る額は倍近く変わります。
依存度が高い世帯ほど、この差がそのまま暮らしの余裕に出てきます。まずは自分がどちらの制度にどれだけ加入していたかを確かめておきたいところです。
国民年金の保険料は2026年度で月1万7920円です。60歳までに480月に届いていない場合は、60歳以上65歳未満の任意加入で納付済期間を積み増せます。手続きや金額の見込みは年金事務所で確かめられます。
働いて収入を得る道も残ります。65歳以降も厚生年金に加入して働けば、その分が老齢厚生年金に上乗せされます。ただし在職老齢年金の仕組みで支給が調整される場合があるため、見込みは事前に確認しておきましょう。


