老後に向けて用意したお金を、どこに置いておくか。多くの方が最初に思い浮かべるのは預金ではないでしょうか。

総務省統計局が2026年5月19日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄現在高は「2494万円」でした。前年から66万円の減少です。

ただ、見ておきたいのは総額よりも中身です。減った66万円の内側では、定期性預貯金が81万円減っていました。

この記事では、65歳以上の無職世帯の貯蓄2494万円の内訳と、その置き場所が5年でどう変わったのかを、一次資料の数値で確認します。

ココがポイント
  • 世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄現在高は2025年平均で2494万円。前年から2.6%減り、6年ぶりの減少となった
  • 内訳では定期性預貯金が778万円で最も多いが、前年から9.4%減り、通貨性預貯金の766万円とほぼ並んだ
  • 5年前の2020年は定期性預貯金が貯蓄の40.1%を占めていたが、2025年は31.2%まで下がった

1. 「貯蓄」65歳以上の無職世帯は平均2494万円。6年ぶりに減った

まず、シニア世代の貯蓄がいまどのくらいの水準にあるのかを確認します。

参照するのは総務省統計局の家計調査報告(貯蓄・負債編)で、二人以上の世帯を対象とした調査です。

1.1 二人以上の世帯の平均は2059万円、中央値は1264万円

2025年平均の1世帯当たり貯蓄現在高は2059万円で、前年に比べ75万円、3.8%の増加となりました。7年連続の増加で、比較可能な2002年以降では最も多い水準です。

一方、貯蓄現在高が「0」の世帯を除いた貯蓄保有世帯の中央値は1264万円でした。平均値と中央値では800万円近い差があります。

1.2 世帯主が65歳以上の世帯は平均2564万円、中央値は1777万円

世帯主が65歳以上の世帯に絞ると、貯蓄現在高の平均値は2564万円、貯蓄保有世帯の中央値は1777万円です。この層は二人以上の世帯の42.9%を占めます。

分布を見ると、貯蓄現在高が2500万円以上の世帯が36.3%で、およそ3分の1にあたります。他方で300万円未満の世帯も14.9%あり、同じ年代のなかで幅が大きいことが分かります。

1.3 無職世帯に絞ると2494万円で、6年ぶりの減少

さらに、世帯主が65歳以上の無職世帯に限ると、貯蓄現在高は2494万円でした。前年に比べ66万円、2.6%の減少で、6年ぶりの減少です。

この層は二人以上の世帯の32.0%にあたります。年金を主な収入としながら貯蓄を取り崩す時期に入った世帯が、統計の上でも減少に転じたと読めます。

2. 「貯蓄2494万円」の中身。65歳以上の無職世帯は何にお金を置いているのか

次に、その2494万円がどこに置かれているのかを見ていきましょう。

家計調査では、貯蓄を通貨性預貯金・定期性預貯金・生命保険など・有価証券・金融機関外の5つに分けて集計しています。

2.1 最も多いのは定期性預貯金の778万円

2025年の内訳は、定期性預貯金が「778万円」で最も多く、次いで通貨性預貯金が766万円、有価証券が510万円、生命保険などが426万円、金融機関外が13万円となっています。

通貨性預貯金は普通預金など出し入れが自由なもの、定期性預貯金は預入期間が決まっているものを指します。

65歳以上の無職世帯の貯蓄2494万円は、預貯金・生命保険など・有価証券に分かれている1/2

世帯主が65歳以上の無職世帯における貯蓄の種類別の金額と構成比、前年比を示した表

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」をもとにLIMO編集部作成

通貨性預貯金と定期性預貯金を合わせると1544万円で、貯蓄全体の61.9%にあたります。金融機関で保有している分は2481万円で、貯蓄の99.5%を占めます。

2.2 定期性預貯金だけが1年で9.4%減った

前年と比べると、定期性預貯金は81万円、9.4%の減少でした。通貨性預貯金も35万円、4.4%の減少です。

一方で、生命保険などは8.1%の増加、有価証券は1.8%の増加となりました。減っているのは預貯金で、増えているのはそれ以外という形です。

結果として、定期性預貯金の778万円と通貨性預貯金の766万円の差は12万円まで縮まりました。

3. 「貯蓄の置き場所」は5年で変わった。定期預金は4割から3割へ

この動きは1年だけのものではありません。5年前と比べると、貯蓄の構成比がはっきり変わっています。

3.1 2020年と2025年で構成比を比べる

2020年の内訳は、定期性預貯金が40.1%、通貨性預貯金が27.0%、生命保険などが17.3%、有価証券が15.2%でした。

2025年は定期性預貯金が31.2%、通貨性預貯金が30.7%、生命保険などが17.1%、有価証券が20.4%です。

5年間で定期性預貯金の割合は4割から3割まで下がり、有価証券の割合が上がった2/2

世帯主が65歳以上の無職世帯における貯蓄の種類別構成比を2020年と2025年で比べた帯グラフ

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」をもとにLIMO編集部作成

3.2 有価証券は15.2%から20.4%に上がった

5年間で、定期性預貯金は8.9ポイント下がり、有価証券は5.2ポイント上がりました。金額でも有価証券は348万円から510万円へ増えています。

ただし、これは同じ世帯を追いかけた数字ではありません。調査対象となる世帯の入れ替わりも含んだ平均値であることは押さえておきたい点です。

中本 智恵
銀行員だった頃、窓口で預金を担当していました。定期預金の満期のお知らせを持って来店される方の応対をしていましたが、そのまま同じ条件で継続される方も多かったように記憶しています。統計では定期性預貯金の割合が下がっていますので、置き場所を見直す方が増えているのかもしれません。