2. 手取りを守るための3つの対策ポイント
仕組みを知った上で、私たちが賢く手取りを守るための対策ポイントを3つ整理しました。
① 会社の「給与締め日・支払日」を確認する
定時決定の基準は、4月から6月に「支給された」給与です。月末締め・翌月払い(例:3月に働いた分が4月に支払われる)の会社の場合、実際に残業をセーブすべきなのは「3月・4月・5月」の勤務分となります。まずはご自身の給与明細で支払いルールを確認しましょう。
② 業務のスケジュールを調整する
もしご自身で仕事のペースをコントロールできる環境であれば、春先に集中しそうな業務を2月以前や7月以降に分散させられないか、チーム内で相談してみる価値はあります。
③ 「特例制度」があることを知っておく
引っ越し業やブライダル関連など、特定の時期だけ給与が高くなる業種向けには、例外として「過去1年間の平均」で算定できる特例制度が用意されています。適用にはいくつか条件があるため、勤務先に確認してみましょう。
2.1 注意:社会保険料は単なる「負担」ではない
目先の手取りを増やすために残業を減らすのもひとつの手ですが、社会保険料のランクが下がると、将来受け取れる老齢厚生年金額や、病気休職時の「傷病手当金」、産休中の「出産手当金」の受給額も下がってしまいます。目先の金額にとらわれず、将来の安心とのバランスを考えながら働くことが大切です。
3. まとめにかえて
今回は、4月から6月の給与が秋以降の社会保険料に影響する仕組みと、手取り防衛のための対策について解説しました。毎年4月から6月に支給される給与の平均額で社会保険料のランクが決まり、その結果が9月からの1年間の手取り額を左右します。
まずはご自身の会社の給与支払いサイクルを確認し、春先の業務スケジュールを無理のない範囲で調整することが有効な対策となります。
社会保険制度は私たちを守る強力なセーフティネットです。保険料が上がることを「損」と捉えがちですが、万が一の病気や出産で休業した際には、標準報酬月額が高いほど受け取れる手当も手厚くなります。ご自身が今どのライフステージにいて、どんな保障が必要かを軸に、キャリアとお金の両面からバランスよく判断していくことをおすすめします。
参考資料
- 厚生労働省東京労働局「【お知らせ】令和8年8月1日から育児休業給付の申請手続きを見直します」
- 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」
- 協会けんぽ「令和8年度保険料額表 被保険者の方の健康保険料額(令和8年3月~) 東京」
村岸 理美
