5. 30代・40代に多い「積立で家計が苦しくなった」への不安。ファイナンシャルアドバイザー・菅原美優が伝えたいこと

日頃のご相談では、新NISAを始めた方から「積立額を多めに設定しすぎて、毎月の家計が回らなくなった」というお話をうかがうことがあります。非課税の枠を早く使いたいという気持ちが、無理な設定につながる場合があります。

5.1 30代・40代に多いお悩み相談は「積立の負担が重い」という声

30代・40代は、住まいや車、子どもの費用など大きな支出が重なる時期です。制度上の枠を意識して積立額を高めに設定すると、賞与や臨時収入を当て込んだ家計になりがちで、収入が想定を下回ったときに一気に苦しくなります。次のような声を耳にします。

40代(ご相談者)
賞与が思ったより少なく、月々の積立が負担になってきました。ローンの支払いや税金の納付が重なる時期もあり、手元に残るお金がほとんどありません。積立をどうすればいいのか決めかねています。

苦しくなったときにすべてをやめる必要はありません。ただし、商品によって「やめる」ことの意味が違うため、そこを知っておくことが重要です。

5.2 【ファイナンシャルアドバイザー・菅原美優が回答】積立で家計を圧迫しないための3つの解決策

菅原 美優
「積立で家計が苦しくなった」という不安を解消するには、賞与を当てにしない金額に積立額を見直し、止めやすいものと戻せないものを区別することが重要です。例えば、NISAは積立額をいつでも停止したり減額したりできる一方で、保険の積立商品は停止や減額することができない商品がほとんどです。この違いを踏まえたうえで、積立額を調整してみましょう。
また積立額を削る前に、先に固定費を見直ししてみましょう。通信費や保険料など、固定費を下げることができれば、無理なく積立を続けられる家計づくりの出発点になります。

積立額は、始めるときに決めて終わりではなく、家計に合わせて調整するものです。ご相談のなかでは、次の三つの順序でお話しすることが多くあります。

5.3 ポイント1:賞与を当てにしない金額に設定する

一つ目は、「賞与を当てにしない金額に設定する」ことです。毎月の手取りのなかで無理なく続けられる額に抑えておく。非課税の枠を使い切ることを目標にすると、家計の実態と合わない金額になりやすいので注意が必要です。

5.4 ポイント2:止めやすいものと戻せないものを区別する

二つ目は、「止めやすいものと戻せないものを区別する」ことです。NISAの積立は停止や減額をしても、後から再開できます。一方、保険は減額すると元の保障に戻せない場合があります。調整する順番は、この違いを踏まえて決めます。

5.5 ポイント3:先に固定費を見直す

三つ目は、「先に固定費を見直す」ことです。積立を削る前に、通信費や保険料など毎月出ていくものを点検する。固定費が下がれば、積立を続けたまま家計を立て直せる場合があります。

なお、投資信託には元本割れの可能性があり、保険の減額や解約は返戻金が払込額を下回る場合や、健康状態によって元の保障に戻せない場合があります。積立額の設定はご家庭の収支に応じてご判断ください。

6. まとめ|「複利」と「非課税」を味方につけ、無理なく資産形成を続ける

毎月3万円を20年間積み立てる場合でも、預金と新NISAでは最終的な資産額に数百万円〜1000万円以上の差が生まれます。この差を生み出しているのは「複利効果」と「非課税」という新NISAならではの強みです。

運用期間を長く確保できるほど複利の効果は大きくなるため、金額の多寡よりもまず早く始めることが重要です。ただし、非課税枠を埋めることを優先するあまり、家計を圧迫するほどの金額を積み立てることは避けましょう。

無理のない金額からスタートし、生活状況に応じて積立額を見直しながら、長期的な視点でコツコツと資産形成を続けていくことが大切です。

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参考資料

菅原 美優