現役時代の収入が高ければ、その分だけ年金も多く受け取れると考えている方は少なくありません。ただ実際の分布を見ると、その前提は途中で頭打ちになります。
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月額15万289円でした。月30万円以上を受け取っている方は0.12%にとどまります。
この記事では、厚生年金の受給額がどう分布しているのかを確認したうえで、保険料と年金額の計算に使う賃金の上限が2027年から動くことを見ていきます。
- 厚生年金の平均受給額は月額15万289円。月30万円以上は0.12%
- 月20万円以上は18.8%で、約8割は月20万円未満
- 保険料と年金額の計算に使う賃金の上限が2027年9月から段階的に引き上げられる
なお、厚生年金の受給額の水準については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 厚生年金の月30万円超は0.12%
まずは受給額の分布から確認していきます。ここで扱うのは国民年金分を含んだ厚生年金の月額です。
1.1 平均は月額15万289円
厚生年金の平均受給額は月額15万289円でした。男女別では男性が約17万円、女性が約11万1000円で、6万円近い開きがあります。
この差は、加入期間の長さと現役時代の報酬の違いによるものです。
1.2 約8割は月20万円未満
分布を見ると、月20万円以上を受け取っているのは全体の18.8%でした。5人に1人には届きません。
さらに月30万円以上となると0.12%にとどまります。年額に直すと360万円を超える水準ですが、この層はごくわずかです。
裏を返せば、約8割の方は月20万円未満で生活を組み立てていることになります。
受給額の水準については、LIMOの記事「【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説」から要点を引用しておきます。
本記事では、2026年度の標準的な夫婦世帯の年金額や、1人で月額30万円以上を受け取る人の割合を確認します。あわせて、公的年金制度に関するよくある誤解についても整理していきましょう。
出所:【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説
2. 賃金の上限が2027年9月から動く
受給額に上限に近い水準が生まれる理由のひとつが、保険料と年金額の計算のしくみです。ここが2025年の改正で見直されました。
2.1 標準報酬月額という基準額がある
厚生年金保険料や健康保険の保険料、そして年金額を計算するときには、月々の報酬と賞与を一定の幅で区切った標準報酬月額という基準額が使われます。
この上限は現在65万円です。月の収入が65万円を超えても、保険料や将来の年金額の計算に使われるのは65万円までとなります。いくら稼いでも頭打ちになるということです。
厚生労働省によると、会社員男性の約10%がこの上限に該当しています。賃金が上限を超えると保険料の負担は相対的に軽くなりますが、その分だけ受け取る年金額も抑えられます。
2.2 65万円から75万円へ段階的に引き上げ
2025年6月13日に成立した年金制度改正法で、この上限を段階的に引き上げることが盛り込まれました。
2027年9月から月68万円、2028年9月から月71万円、2029年9月から月75万円という順で上がります。
高収入層の保険料負担は増えますが、これまでより現役時代の賃金に見合った年金を受け取れる形になります。
収入が高い方ほど「年金は当てにしていない」と思うかもしれません。上限で頭打ちになる仕組みを知っていれば、それは自然な感覚です。
ただ2027年からは上限が動きます。負担も受給額も変わるので、いま高い報酬を受けている方は影響を確かめておくとよいと思います。




