5. 月10万円は物価1%で10年後にいくらの価値になるのか
ここでは年金月額10万円(年120万円)が、物価上昇率1%で10年推移した場合の実質的な価値を試算します。いまの10万円で買えるものを基準にした金額です。
額面が変わらなくても、実質的な価値は物価の動きで目減りします。
5.1 【試算】物価1%が10年続いた場合の実質価値
- 現在の年金:月10万円/年120万円
- 物価上昇率:年1%
- 経過年数:10年
- 実質価値:年108万6344円(月9万529円相当)
- 目減り:9.5%(月9471円相当の減少)
金額は10万円のままでも、10年後には実質9万529円相当の感覚になります。目減りは9.5%です。
※月10万円が据え置かれたまま物価だけが年1%上がった場合の実質価値です。実際の年金額は毎年度見直されますが、マクロ経済スライドによって上昇率が物価を下回ることもあります。
1割ほどの目減りであれば影響は感じにくいかもしれません。ただし期間が延びるほど差は広がっていきます。
5.2 【半分の価値になるまで】物価1%なら約70年
実際には年金額も物価に応じて改定されるため、月9万529円相当まで落ちる計算どおりにはなりません。ただし改定率が物価上昇率を下回る年もあります。
物価上昇率が1%で推移すると、お金の価値が半分になるまでにおよそ70年かかります。65歳から受け取り始めるとすれば135歳ごろにあたり、現実的な年数ではありません。
とはいえ、月10万円という額面が10年後に9万529円相当になるのは確かです。金額が据え置かれても、暮らしの水準まで据え置かれるわけではありません。
手元のねんきん定期便で自分の見込額を確かめ、そこから物価の動きも合わせて考えてみてください。
6. 年金の実質価値は物価の動きで変わる
国民年金の平均月額は65歳以降でおおむね6万円前後、90歳以上では5万5633円でした。年齢が上がっても金額が増えるわけではありません。
厚生年金は全体で15万289円、男性16万9967円、女性11万1413円で、男女差は6万円近くあります。
月10万円の年金は、物価1%が10年続くと実質9万529円相当になります。額面だけでなく、物価との関係でも見ておきたいところです。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
石津 大希
