2. 「生活が苦しい」は全世帯で55.4%—高齢者世帯はやや低い

「うちだけが苦しいのだろうか」—家計のやりくりが続くと、そう思う日があるのではないでしょうか。世の中の生活意識を、厚生労働省の2025年(令和7年)国民生活基礎調査からみてみましょう。なお、これは先のJ-FLEC(貯蓄の調査)とは別の調査です。

2.1 「生活が苦しい」は全世帯で55.4%

全世帯の生活意識は「大変苦しい」が23.2%、「やや苦しい」が32.2%。合わせて55.4%の世帯が、暮らしを苦しいと感じています。半数を超える世帯が同じ答えを選んでいるということです。

一方、「ゆとりがある」は全世帯で6.1%にとどまります。

2.2 高齢者世帯は52.1%—月の生活費で自分の収支をみる

では高齢者世帯はどうでしょうか。「大変苦しい」が21.0%、「やや苦しい」が31.1%で、合計52.1%。全世帯の55.4%を3.3ポイント下回ります。

「ゆとりがある」は6.2%で、全世帯とほぼ同じです。年金生活に入った世帯のほうが、苦しいと感じる割合はやや低いという結果です。住宅ローンや教育費といった大きな支出を終えた世帯が含まれることも、背景として考えられます。

収入の水準そのものは高くありません。同じ調査では、1世帯当たりの平均所得金額は全世帯575.2万円に対し、高齢者世帯は336.1万円(うち公的年金・恩給205.9万円)。それでも苦しさの実感は全体より小さいのです。

見るべきは他の世帯との比較ではなく、自分の収支。苦しいと感じる世帯が過半数という前提のうえで、支出のどこに重さがあるのかを確かめることが、実感を変える一歩になります。

3. ファイナンシャルプランナーからのアドバイス

30〜60歳代おひとりさまの貯蓄は、平均501万〜1364万円・中央値100万〜300万円でした。「生活が苦しい」が過半数という調査もふまえ、不安を行動に変える3つのポイントをお伝えします。

一つ目は、他人と比べないことです。苦しいと感じる世帯は全体の55.4%。多くの人が同じ思いを抱えています。

まわりと比べて落ち込むより、自分の収支に目を向けるほうが、ずっと役に立ちます。

二つ目は、「苦しさの正体」を支出から探すことです。家計簿やカードの明細で1カ月の支出を洗い出し、どの費目が重いのかを確かめます。正体がわかれば、手をつける場所が決まります。

三つ目は、固定費から見直すことです。通信・保険・住まいなどの固定費は、一度削れば効果が長く続きます。日々の楽しみを削るより、まず固定費を点検するほうが、無理なく続けられます。

村岸 理美

FP相談を受けていたお客様は、その多くが60歳以上で、退職金の運用を控えた方々でした。相談の場でよく感じたのは、お金の不安の多くが「まわりと比べること」から生まれているということです。今回の調査でも、「生活が苦しい」と感じる世帯は全体で55.4%と半数を超えていました。

つまり、苦しさを感じているのは決してあなただけではありません。大切なのは、他人の家計ではなく、自分の収入と支出に目を向けること。まず1カ月の支出を書き出して、どの費目が重いのかを確かめる。

そのうえで、日々の楽しみではなく、通信や保険といった固定費から見直す。この順番なら、生活の満足度を下げずに家計を整えられます。おひとりさまは、家計のすべてを自分で決められる強みがあります。

数字で現在地をつかめば、漠然とした不安は、必ず具体的な一歩に変わります。

4. まとめにかえて

今回は、30〜60歳代おひとりさまの平均貯蓄額(501万〜1364万円)と中央値(100万〜300万円)を年代別に確認しました。どの年代も平均が中央値を大きく上回り、実感に近いのは中央値のほうです。

あわせて国民生活基礎調査から、「生活が苦しい」と感じる世帯は全世帯で55.4%、高齢者世帯で52.1%にのぼることをみました。苦しさを感じているのは、決して自分だけではありません。年金生活に入った世帯のほうが、その割合はやや低いという結果でした。

今日からできることは3つです。まず、まわりと比べて落ち込まず、自分の収入と支出に目を向けること。次に、1カ月の支出を書き出し、どの費目が重いのか「苦しさの正体」を確かめること。

そして、通信・保険・住まいなどの固定費から見直し、効果の長く続くところに手をつけること。おひとりさまは、家計を自分で決められる強みがあります。数字で現在地をつかむことから、不安を一歩ずつ行動に変えていきましょう。

参考資料

村岸 理美