2026年春に公表された総務省の最新調査(地方公務員給与実態調査)によると、公立学校の教員などを含む教育公務員の定年退職金は、全国平均で約2295万円にのぼることがわかりました。教室で子どもたちに日々真剣に向き合う先生方の姿は、多くの方にとって身近で頼もしい存在です。

筆者自身も学生時代にお世話になった恩師の顔が今でも浮かびますし、教員という職業には特別な感謝の念を抱くものです。今回は、そんな教員の皆様の退職後の暮らしを支える退職金と年金の実像について、最新データをもとに解説します。

ココがポイント
  • 公立学校教員の退職金と年金の平均的な金額目安
  • 退職金の支給額を左右する3つの変動要素と中途退職の注意点
  • 教員が今すぐ始められる老後資金準備の3つのステップ

1. 公立学校教員の退職金:全国平均は約2295万円

1.1 教育公務員の定年退職手当は2294万7000円

総務省の「地方公務員給与実態調査」(令和6年)によると、25年以上勤続後に定年退職した「教育公務員」(公立学校教員などを含む区分)の退職手当平均額は約2294万7000円です。年収の3〜4倍にあたる金額が退職時にまとめて支給される計算です。

公立学校の教員は地方公務員のなかでも「教育公務員」という区分に位置づけられ、退職手当は各自治体の条例によって支給されます。国家公務員の退職手当法に準じた計算式が採用されているケースが多く、勤続年数と退職時の給料月額をもとに算定される仕組みです。

民間企業と比べても手厚い水準

厚生労働省「就労条件総合調査」による民間の大学・大学院卒定年退職者の平均退職給付額(勤続20年以上)は、2000万円前後です。教員の定年退職手当2295万円は、民間の平均と比べても遜色ない、あるいは上回る水準といえます。

1.2 教員の退職金は自治体で差が出る

教員の退職手当は自治体(都道府県・政令市)ごとの条例で決まるため、勤務先の自治体によって支給額に差が出ます。給料表の水準や地域手当の差、独自の上乗せや調整のあり方によって、同じ勤続年数でも100万〜200万円程度の差が生じることがあります。

公立教員退職金の上位自治体

報道や自治体の公表資料を集計した情報によると、公立教員の退職手当が高い自治体としては、以下が挙げられています。

  • 兵庫県:約2313万円
  • 岡山県:約2287万円
  • 三重県:約2285万円

これらの自治体では、教員全体の退職手当平均が全国平均を上回る水準です。

自治体ごとの正確な金額は各教育委員会へ

自治体ごとの詳細な支給金額は、各都道府県・政令市の教育委員会や人事委員会が公表しています。数字は年度によって変動するため、最新の金額を確認したい場合は、勤務先の自治体または志望する自治体の教育委員会サイトを参照するのが確実です。

2. 校種別・退職事由別の退職金

2.1 校種による差:小・中と高校で100万円程度の開き

民間の集計サイトによると、公立の小学校・中学校教員の定年退職金は約2200万円、高校教員の定年退職金は約2300万円と、校種によって100万円程度の差があります。高校のほうが給料表の水準が高い傾向にあり、退職手当算定の基礎額が若干上がることが影響しているようです。

2.2 退職事由による差:定年・応募認定・自己都合

国家公務員の退職手当データを参考にすると、退職事由による退職手当の差は次のとおりです。

  • 定年退職:約2160万円
  • 応募認定退職(早期退職募集):約2470万円
  • 自己都合退職:約345万円

教員も同様の傾向があり、定年まで勤め上げた場合と途中で自己都合退職した場合とでは、支給額に大きな差が出ます。応募認定退職は、定年前に一定の条件で退職を選ぶ制度で、退職手当が優遇される仕組みです。

2.3 勤続年数が短いと退職金は大きく下がる

教員に限らず、退職手当は勤続年数の長さで大きく変わります。20年未満の中途退職の場合、勤続年数に応じた支給率で計算されるため、定年退職の半分以下になることも珍しくありません。転職や退職を考える際は、退職手当の計算式と現時点の見込み額を、必ず自治体の担当部署で確認したいところです。