「いまはひとりでも元気だけれど、この先もこのままで大丈夫だろうか」—60歳代のおひとりさまなら、老後の暮らしにそんな思いがよぎることもあるのではないでしょうか。実は、一人暮らしの高齢者はこの数十年で大きく増えています。

ひとりの老後は、誰かと暮らす前提とは備え方が変わります。まずは同世代のおひとりさまの貯蓄の現在地を平均と中央値で確かめ、そのうえで、一人暮らし高齢者がどれだけ増えているかをみていきましょう。

今回は、60歳代の単身世帯の平均貯蓄額と中央値を確認し、一人暮らし高齢者の広がりと、ひとりを前提にした備えをみていきます。

村岸理美
FPとして日々お金の相談をお受けする中でも、「いまは元気だけれど、ひとりの老後への備えはこれで十分だろうか」という声をよく耳にします。ひとりの暮らしは身軽で自由な反面、いざというときの資金や頼り先をどうするかで、心持ちが大きく変わってきますよね。一人暮らしの高齢者は年々増えています。ひとりの老後は「誰かに頼れる前提」では設計しにくく、お金・住まい・健康の備えを自分で組み立てておくことが大切です。まずは同世代の貯蓄の現在地と、一人暮らしがどれだけ広がっているかを確かめていきましょう。
ココがポイント
  • 60歳代おひとりさまの平均貯蓄額と中央値
  • 65歳以上の一人暮らしは令和2年で男性15.0%・女性22.1%、2050年には4人に1人以上へ(高齢社会白書)
  • ひとりを前提にした、お金・住まい・健康の備え

1. 【60歳代おひとりさまの平均貯蓄額】中央値はいくらか?

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、60歳代・単身世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。

※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。

1.1 60歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

  • 60歳代単身世帯:平均1364万円/中央値300万円

60歳代のおひとりさまは平均1364万円・中央値300万円。2000万円以上を持つ人が21.1%いる一方、貯蓄のない人も30.4%と3割にのぼります。準備できた人とそうでない人の差が大きく、実感に近いのは中央値300万円のほうです。

村岸理美
60歳代のおひとりさまは、これからの住まいや健康の備えを考え始める時期です。平均だけでなく中央値もあわせて、わが家の現在地を確かめておきましょう。次のページでは、増え続ける一人暮らし高齢者の実情を、公的データからみていきます。