3. 貯蓄2000万円を月3万円ずつ取り崩すと資産寿命は55.6年
ここからは、年金と支出の差額が月3万円ある方を想定し、貯蓄2000万円がどこまで持つのかを確かめます。
引き出す額が小さければ、資産が尽きるまでの年数は長く伸びていきます。
3.1 【試算】貯蓄2000万円を月3万円ずつ取り崩した場合の資産寿命
- 貯蓄額:2000万円
- 毎月の取り崩し額:3万円
- 年間の取り崩し額:36万円
- 資産寿命:55.6年
- 65歳から始めた場合:寿命の範囲では使い切らない計算
55.6年という数字は、65歳から始めた場合に寿命の範囲では使い切らない水準にあたります。貯蓄額に対して引き出す額が小さいため、資産の面では余裕のある状態です。
もっとも、この試算は物価上昇や介護費用を織り込んでいません。支出が月3万円に収まり続ける前提が崩れれば、年数は短くなります。
※2000万円÷(3万円×12)で求めた単純計算です。運用益や物価上昇、介護費用や住宅修繕といった突発的な支出は考慮していません。
この水準になると、期間の長さより資金の使い方をどう設計するかのほうが論点になってきます。
3.2 年率2%で運用すると運用益が取り崩し額を上回る
2000万円を年率2%で運用すると、1年の運用益は40万円です。取り崩す額が年36万円ですから、計算上は元本が減らずに済みます。
ただし運用には値動きがあり、毎年2%が確実に得られるわけではありません。下落した年は元本を取り崩す形になり、想定どおりに進まないこともあります。
当面の生活費は現金で確保し、値動きのある資産に回すのは使う予定が遠い分だけにとどめる。この線引きができていれば、余裕のある資産を無理なく活かせます。
銀行の窓口で資産運用のご相談を伺っていた頃も、まとまった貯蓄をお持ちの方が「取り崩すのが怖い」と感じているケースは少なくありませんでした。今回の試算のように年数を出してみると、意外と余裕があると分かることもあります。
一方で、当面使う予定のあるお金まで値動きのある商品に回してしまうと、必要なときに元本が目減りしている可能性があります。使う時期が近いお金と遠いお金を分けて考えることが大切です。
まずはご自身の年金見込額と毎月の支出を並べ、不足額を把握するところから始めてみてください。そのうえで貯蓄をどう配分するかを考えると、判断がしやすくなります。
4. 年金の加入期間による差と家計の不足額を確かめる
65歳以上・単身無職世帯では、実収入13万1456円が消費支出14万8445円に1万6989円届いていません。非消費支出1万2990円を加えると、毎月の不足額は2万9980円になります。
年金月額は厚生年金の加入期間によって分かれ、39.8年のモデルで17万6793円、6.5年のモデルでは6万1771円です。加入期間の差は6.1倍、月額の差は2.86倍になります。
ご自身の加入期間と見込額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。記録に抜けがないかも含めて確かめ、毎月の支出と並べておきたいところです。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
- 【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
中本 智恵

