8月の年金支給日が終わり、次回は10月です。年金の定期支払日は、振込額を確かめる機会でもあります。

公的年金の受け取り額は、現役時代に厚生年金へどれだけ加入していたかで大きく変わります。加入期間が39.8年のモデルと6.5年のモデルでは、月額に3倍近い開きが生じます。

一方で年金を主な収入とする単身世帯の家計は、収入が支出に届かない状態が続いています。まずはこの2つを順に確かめていきましょう。

中本 智恵
年金額の差は、加入期間と収入という2つの要素の積み上げで決まります。お金に関する記事を書く中でも、この2つを取り違えて「収入が高かったから安心」と考えている方は少なくない印象です。ご自身の加入記録に抜けがないかも、あわせて確かめておいてください。

本記事では、65歳以上・単身無職世帯の家計収支と、厚生年金の加入期間別に示された2026年度の年金月額について解説します。

なお、65歳以上・単身無職世帯の家計収支と加入経歴別の年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
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ココがポイント
  • 65歳以上・単身無職世帯の実収入13万1456円は消費支出14万8445円に1万6989円届かない
  • 厚生年金の加入期間39.8年のモデルは年金月額17万6793円
  • 加入期間6.5年のモデルでは6万1771円まで下がる

1. 年金を含む実収入13万1456円は消費支出14万8445円に届かない

年金を主な収入とする単身世帯の家計から確かめます。

家計収支の内訳については、「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認してみます。

65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

目を向けたいのは、税金や社会保険料を含まない消費支出14万8445円の段階で、すでに実収入13万1456円を1万6989円上回っている点です。

そこに非消費支出1万2990円が加わることで、毎月の不足額は2万9980円になります。日々の生活費だけでも収入を超えているため、支出を絞る余地は限られてきます。

2. 年金の加入期間が39.8年と6.5年で月額は3倍近く開く

不足分をどこまで抑えられるかは、受け取る年金額に左右されます。まず2026年度の水準を押さえたうえで、加入期間別のモデルを見ていきましょう。

2.1 2026年度の年金額は国民年金7万608円・厚生年金23万7279円

年金額は物価や現役世代の賃金の動きを反映して毎年改定されます。2026年度は国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられ、日本年金機構が次の金額を公表しました。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
  • 厚生年金(夫婦2人分):23万7279円(+4495円)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

厚生年金の増額分4495円は、国民年金1人分の1300円の3倍以上です。もとの金額が大きいほど改定による増え方も大きくなるため、加入歴の差は改定を重ねるごとに広がっていきます。

2.2 厚生労働省は加入経歴を5つのモデルに分けて示している

厚生労働省は年金額の改定にあわせ、加入経歴を男性2通り・女性3通りに整理した年金額例を公表しました。以下は「2026年度に65歳になる人」を想定した概算です。

加入経歴別の年金額例については、「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から要点を引用して確認してみます。

2.3 厚生年金期間39.8年の男性は月17万6793円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万9951円
  • 厚生年金:10万6842円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

2.4 厚生年金期間7.6年の男性では月6万3513円まで落ちる

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8896円
  • 厚生年金:1万4617円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

2.5 厚生年金期間33.4年の女性は月13万4640円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万1881円
  • 厚生年金:6万2759円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

2.6 厚生年金期間6.5年の女性は月6万1771円にとどまる

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万3119円
  • 厚生年金:8652円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

2.7 第3号被保険者期間が中心の女性は月7万8249円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万9016円
  • 厚生年金:9234円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

最も長い39.8年と最も短い6.5年では、加入期間そのものが6.1倍違います。その結果として年金月額は17万6793円と6万1771円に分かれ、こちらは2.86倍の差になります。

加入期間の差ほど月額の差が広がらないのは、全員に共通する基礎年金が土台にあるためです。厚生年金部分だけを比べると10万6842円と8652円で、12倍以上の開きになります。

現役時代に厚生年金へ加入していた期間の長さが、そのまま老後の受け取り水準に反映される仕組みだといえます。

2.8 《試算》加入期間の差は、25年間の受取総額でいくらになる?

月額の差は毎月続くものですから、受給期間をかけ合わせると規模が変わってきます。加入期間が最長のモデルと最短のモデルで、65歳から90歳までの25年間に受け取る総額を試算してみましょう。あくまで一定の前提を置いた試算であり、実際の受給額を保証するものではありません。

  • 加入期間39.8年のモデル(月17万6793円):17万6793円×12カ月×25年=約5304万円
  • 加入期間6.5年のモデル(月6万1771円):6万1771円×12カ月×25年=約1853万円
  • 両者の差:約3451万円(月11万5022円の差×12カ月×25年)

月額では11万円台の違いでも、25年という単位で積み上げると3400万円を超える差になります。住宅の購入額に匹敵する規模の開きが、現役時代の加入期間によって生まれている計算です。

20年間で比べた場合でも、差額は約2760万円になります。年金額の改定は織り込んでいないため、実際にはこれより大きくなる可能性もあります。

中本 智恵
ここまでを整理すると、単身無職世帯では毎月2万9980円の不足が生じており、年金額は加入期間によって17万6793円から6万1771円まで分かれます。モデルケースはあくまで目安ですので、ねんきん定期便やねんきんネットで見込額と加入期間を確かめ、判断に迷う点は年金事務所に相談してみてください。