6. 【資産寿命】貯蓄1000万円を毎月5万円ずつ取り崩すと16.7年
手元の残高を年間の取り崩し額で割れば、資産寿命の目安は出せます。
ここでは貯蓄1000万円を毎月5万円ずつ取り崩す場合を試算します。年金と支出の差額が月5万円ある方が対象のイメージです。
6.1 【試算】年60万円ずつ使うと16.7年
- 貯蓄額:1000万円
- 毎月の取り崩し額:5万円
- 年間の取り崩し額:60万円
- 資産寿命:16.7年
- 65歳から始めた場合:81歳頃まで
65歳から取り崩し始めると、81歳頃に底をつく計算です。80歳前後までは持ちますが、90歳を超える長生きに備えるには不足する可能性があります。
※1000万円÷(5万円×12)で求めた単純計算です。運用益や物価上昇、介護費用や住宅修繕といった突発的な支出は考慮していません。
取り崩し額を月1万円減らして4万円にすると、資産寿命は20.8年へ4.2年延びます。1ページ目で見た夫婦世帯の赤字額約4万2000円に近いペースです。
6.2 3.6年の上積みで85歳頃まで延びる
残った資産を年率2パーセントで運用しながら取り崩すと、資産寿命は16.7年から20.3年へ、3.6年延びる計算になります。65歳から始めた場合、81歳頃までだったものが85歳頃までに動きます。
もっとも、この年率はあくまで仮定です。運用資産には値動きがあり、序盤に下落が重なると計画は崩れます。数年内に使う予定の資金は運用に回さず、相場が悪い年は取り崩しを控えるといった調整で影響を小さくできます。
貯蓄1000万円を月5万円で取り崩すなら16.7年が目安です。85歳を超えて長生きする前提で考えるなら、取り崩し額を抑えるか収入源を増やす検討もあわせて必要になります。生活費の半年分から1年分は現金で確保しておきましょう。
7. 老後資金は月単位ではなく10年単位で見ておく
65歳以上の夫婦のみ無職世帯は毎月約4万2000円が不足し、1年で約50万円、10年で約500万円を取り崩す計算になります。月単位では小さく見える差額でも、積み上がると大きな金額です。
同世帯の平均貯蓄額は2494万円で、前年から66万円減りました。有職世帯を含めた中央値は1777万円と、平均値より約790万円低い水準です。
2026年度の年金額は夫婦2人分の厚生年金で月23万7279円ですが、これも例のひとつです。自分の見込み額を「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確かめ、10年20年という単位で家計を眺めてみてください。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
三石 由佳
