4. みんなの貯蓄事情:日本人はいくら貯めている?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(令和7年)」によると、金融資産保有額(預貯金に加え、株式・投資信託・生命保険などを含み、日常使いの普通預金や不動産・金などは含まない金額)の中央値は、年代や世帯構成によって大きく異なります。
単身世帯の中央値は20歳代37万円、30歳代・40歳代100万円、50歳代120万円、60歳代300万円、70歳代500万円です。二人以上世帯では20歳代125万円、30歳代311万円、40歳代500万円、50歳代700万円、60歳代1,400万円、70歳代1,178万円となっています。平均値で見るとさらに大きな金額になりますが(例えば単身世帯60歳代の平均値は1,364万円)、これは一部の資産規模が大きい世帯に引き上げられている面があり、実態に近いのは中央値だと考えられます。
こうしたまとまった金融資産の中には、株式や投資信託だけでなく、当面使う予定のない預貯金も相当額含まれているとみられます。特に60歳代・70歳代は中央値でも数百万円規模の資産があり、その一部を普通預金から定期預金に移すだけでも、受け取れる利息には無視できない差が生まれる可能性があります。
金融資産のすべてを資産運用に回す必要はありません。生活防衛資金や、数年内に使い道が決まっているお金は、値動きのない預貯金で持っておくのが基本です。ただし「値動きがないから」といって普通預金に置きっぱなしにするのではなく、使う時期がある程度見えているお金は、その期間に合わせて定期預金に預け替えるだけで、リスクを取らずに受け取る利息を増やせます。まずはご自身の資産の中で「当面動かさないお金」がいくらあるかを整理してみることをおすすめします。
5. 定期預金に移す際の注意点
定期預金への預け替えを検討する際は、次の点も確認しておきましょう。
5.1 中途解約すると金利が下がる
定期預金は満期を待たずに中途解約すると、当初の約定利率ではなく、預入期間に応じた低い「中途解約利率」が適用されるのが一般的です。数年後に使う予定があるお金であれば、その使用時期に合わせた預入期間を選ぶことが大切です。
5.2 1金融機関あたり1,000万円までが預金保険の対象
定期預金も預金保険制度(ペイオフ)の対象で、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円とその利息までが保護されます。まとまった資金を預ける場合は、複数の金融機関に分けることも選択肢になります。
5.3 受け取る利息には税金がかかる
定期預金の利息には、原則として20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税がかかります。金利を比較する際は、この記事の試算のように税引後の金額でイメージしておくと、実際の手取りとのズレが少なくなります。
6. まとめ
長く続いた低金利時代を経て、預金金利にもようやく「金利のある世界」が戻ってきました。普通預金に置きっぱなしにしているお金の中に、数年間は動かす予定のない資金があるなら、その期間に合わせて定期預金に預け替えるだけで、リスクを取らずに受け取れる利息を増やせます。
メガバンクとネット銀行、さらにキャンペーン金利では受け取れる利息に大きな差があります。複数の金融機関の金利や条件を比較したうえで、ご自身の資金計画に合った預け先を選んでみてください。
【資産形成に関するご注意】
- 本記事は特定の金融機関・金融商品の勧誘や利用の推奨を目的としたものではありません。
- 金利は変動する場合があります。実際の預け入れにあたっては、各金融機関の最新の金利・商品条件を必ずご確認ください。
参考資料
- 三菱UFJ銀行「円預金金利」
- ソニー銀行「円定期預金キャンペーン」
- 三井住友信託銀行「満期を迎えるお客さま向けキャンペーン」
- docomo SMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)「円定期預金」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(令和7年)」
和田 直子

