「毎月分配型」の投資信託を、65歳以上の人が非課税で受け取れるようにする——そんな「プラチナNISA」という制度が、金融庁で検討されていたことをご存知でしょうか。
結論から言うと、令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)では制度化が見送られ、開始時期は白紙の状態が続いています。
しかし、この構想が注目を集めた背景には「年金だけでは生活が苦しい」というシニア世代に共通する悩みがあります。
実際の年金受給額を確認しながら、毎月分配型投資信託で不足分を補うという考え方について、メリット・デメリットを整理していきます。
※本記事では一部以下のデータを引用しております。
- 厚生年金の平均月額は15万289円、モデル年金23万7279円より少なめ
- 65歳以上向け「プラチナNISA」は令和8年度税制改正で見送りに
- 年金の不足分を毎月分配型投信で補うとしても、全額投資はNG
令和8年度の年金額は増額改定、たとえば月いくら?
まずはシニア世代の年金暮らしについて知るために、年金額データを見ていきます。
公的年金の受給額は、物価や賃金の動向を踏まえて年度ごとに見直されます。
2026年6月支給分(4月・5月分)からは、国民年金(基礎年金)が前年度から1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられました。
- 国民年金(老齢基礎年金・満額、1人分):7万608円(前年度比+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分のモデル年金):23万7279円(前年度比+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(前年度比+1300円)
※厚生年金のモデル年金は、「男性の平均的な収入(平均標準報酬〈賞与含む月額換算〉45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金〈満額〉)の給付水準
夫婦2人分のモデル年金23万7279円は、あくまで平均的な収入で40年間働いた会社員の夫と専業主婦の妻で構成される世帯を想定した「例」です。
実際に受給者一人ひとりが受け取っている平均額とは異なります。
次章では、実際に現代のシニア世代がひと月どれくらい受けとっているのか、平均額を見てみましょう。
【厚生年金・国民年金】現代のシニア世代の年金額はひと月いくら?
実際に年金を受け取っている全受給権者(60歳~90歳以降)の年金月額は次のとおり。
厚生年金(国民年金を含む)の平均月額
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
国民年金の平均月額
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
厚生年金の受給額は、現役時代の収入や加入期間に大きく左右されるため個人差が大きいです。
グラフを見ると、月額1万円未満~30万円以上と広範囲に分布していることがわかります。
老後、公的年金だけで生活費をやりくりできる世帯もあれば、難しい世帯もあります。
老後資金の準備は、「もらえる年金(収入)」の把握と「減らせる支出(固定費)」の見直しをセットで行うことがカギです。ポイントは3つに整理できます。
1. 年金の見込額を把握する
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用し、将来受け取れる年金額を確認して不足額の目安を立てる。
2. ライフステージに伴う支出減を計算する
年齢とともに終わりに近づく大きな支出(住宅ローンや教育費など)を整理し、老後の実際の生活費を試算する。
3. 放置しがちな「隠れ固定費」を削減する
保険の過剰な保障、スマホの料金プラン、カード年会費、使っていないサブスクなど、「惰性で払い続けている支出」を丁寧に見直す。
入ってくるお金(年金)を把握したうえで、出ていくお金(固定費)のムダを削ぎ落としていくことが、無理のない老後資金づくりの一番の近道です。




