私たちは75歳になると、全員「後期高齢者医療保険」に加入します。後期高齢者の医療費の負担割合は、2025年10月から「1割」「2割」「3割」の3パターンに分かれるようになりました。この負担割合は所得によって決まり、家計への影響も人それぞれです。

医療費負担割合は、どのようにして決まるのでしょうか。

この記事では、医療費負担割合が決まる要件と、負担割合の判定基準について解説します。

1. 医療費負担割合が3割の後期高齢者はどんな人?

医療費負担割合が3割になる後期高齢者は「現役並み所得者」に該当する人です。現役並み所得者とは、所得金額が145万円以上の人を指します。年収に換算すると、以下の金額です。

  • 単身世帯:年収約383万円
  • 夫婦世帯:年収約520万円

1年間で上記の年収よりも多い金額を受け取っている人は、医療費負担が3割になります。収入がほかの後期高齢者と比較して多い分、現役世代と同等の割合を負担する形です。

単身世帯の場合、月額約32万円の年金を受け取る人が、医療費の負担割合が3割になります。厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、月額30万円以上の年金を受け取る人は0.09%と、0.1%にも満たないほど少ない状況です。

よって、年金収入のみで現役並み所得者に該当する人は限られます。不動産収入や株式投資による利益など、年金収入以外の収入がある人が該当する可能性があると考えておきましょう。

次章では、医療費の負担割合が2割になる後期高齢者の条件を解説します。