2. 著者からの一言コメント

森川 ちづる
今回の投稿で印象的だったのは、ガレットのように「他人の敷地に置き去りにされる」ケースが海外の動物レスキュー投稿では決して珍しくないという点です。飼い主自身が持て余した動物を、あえて第三者の庭先に置いていくという行為の背景には、経済的な事情や引っ越しなど、さまざまな理由があるのだろうと思われます。ただ、理由がどうであれ、動物の遺棄は許されることではありません。汚れた水のボウルだけを残されたガレットの姿からは、置き去りにされる動物の孤独と不安がひしひしと伝わってきました。

今回伝えたいのは、毛玉やノミにまみれた「変わり果てた姿」であっても、適切なケアと治療を受けられれば健康を取り戻せる可能性はあるということです。見た目の痛々しさだけでその子の価値を判断せず、「まだ間に合うかもしれない」という視点を持つ人が一人でも増えることを願っています。

3. 「命を救う現場」を支える専門職の経済的リアル。獣医師・動物看護の年収はいくら?

厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」を元にした就業者統計データによると、全国の獣医師の平均年収は680万5000円(平均年齢38.7歳)、動物看護従事者の平均年収は351万9000円(平均年齢38歳)です。

ハードな業務に対して動物看護師の過半数が給料に不満を抱く実情もありますが、2022年の愛玩動物看護師の国家資格化などを背景に、今後の待遇改善や推移が注目されています。

同じ38歳前後という年代でありながら、獣医師と動物看護師の年収には大きな開きがあります。この点について、関連記事では次のように解説しています。

ここで注目したいのは、同じ年代でありながら両者の差がおよそ1.9倍にのぼる点です。専門性と資格の違いが、そのまま年収差として表れていると読めます。実際、日本動物看護職協会の調査では、給与に『不満』『非常に不満』と答えた方が合わせて54.5%と過半に達しています。ただ、2022年に『愛玩動物看護師』が国家資格化されたことは、担い手の専門性に裏づけを与え、参入のハードルを設ける動きでもあります。こうした資格化は、一般に中期的な待遇の下支え要因になりうると私は考えています。

獣医師・動物看護師の平均年収はいくら?国家資格化で注目の「給与とリアルな待遇」
獣医師・動物看護師の平均年収はいくら?国家資格化で注目の「給与とリアルな待遇」

4. 監修者からの一言コメント

コメント欄に「寄付しました」という言葉が並んでいたのが印象に残りました。再生数3万4000回、いいねが約2900件という数字は記録として残りますが、そこから実際にいくら集まったのかまでは、外からは見えません。

ガレットのような犬が保護され、毛玉やノミを落として健康を取り戻すまでには、人の手と設備が必要です。ここで紹介されている獣医師680万5000円、動物看護従事者351万9000円という年収も、どこかから支払われているものになります。保護の現場では、寄付がその一部を担っていることもあるのだと思います。

ただ、寄付は数字として表に出にくいものでもあります。「いいね」の数は誰にでも見える一方、そのうち何人が実際に負担したのかは、団体が公表しない限り分かりません。

心を動かされたときは、その団体がふだんどのように運営されているのかを見てみると、支え方も具体的に見えてくるのだと思います。

中沢 新

参考資料

森川 ちづる