3. JT(2914)順風満帆の裏にある「落とし穴」気を付けたいリスクとは

JTは業績が好調で、株価も上昇していますが、やはりリスクもあります。JTが抱える固有のリスクを押さえておきましょう。

3.1 たばこ事業のリスク:規制強化が逆風、イギリスで販売禁止の強化法案が成立

まず気を付けたいのが、「たばこ」が抱えるリスクです。たばこは、日本だけでなく世界的にも規制産業で、各国の方針で業績が悪化する可能性があります。

たばこ規制の具体的な内容は各国でさまざまですが、全体的には厳格化の方向であり、JTの主要地域であるロシアや欧州、米国でも販売や広告に関する規制が強化されています。

例えば、英国では2026年4月、2009年以降に生まれた人へのたばこ販売を禁じる法案が成立しました。これにより、英国では現在18歳未満の人は生涯たばこを買うことができなくなる見通しです。

これに加え、たばこ税も増税の傾向です。たばこに関する規制や税金が引き上げられれば、JTの業績に悪影響を及ぼすことが懸念されます。

3.2 資産の3分の1が「のれん」 収益低迷時に注意したい「減損リスク」

もう一つ、留意しておきたいのが「のれん」(※)です。JTはM&Aに積極的で、総資産の34.4%(2兆9867億円)をのれんが占めます(2026年6月末)。

※のれん…買収額が被買収企業の純資産を上回ったときの差額。純資産800億円の企業を1000億円で買収するなら、のれんは200億円。のれんは買収企業の資産に計上される

国際会計基準のJTは、一部を除き、のれんの定期償却は行っていません。その代わり継続的なモニタリングを行っており、収益性の低下といった兆候が見つかった場合は「減損」という処理が実施されることとなります。

減損処理は、認識した減損額を資産から取り除き、バランスシートを実態に即した水準に調整する手続きです。PL(損益計算書)上は減損損失として費用に一括計上されるため、利益が急減することがあります。のれんが厚いJTは、この減損リスクが潜在的に高いといえます。

JTのM&Aは海外のたばこ事業が中心のため、特に海外の動向については注意しておきたいところです。例えば、JTは2007年に英ギャラハーを1兆7200億円で買収していますが、先述のとおり英国はたばこ規制を大きく強化しており、収益性の低下が懸念されます。

JTに限りませんが、上場企業はさまざまなリスクを抱えて事業を展開しており、リスクが顕在化した場合は株価が大きく下落する可能性があります。投資の際は、有価証券報告書の「事業等のリスク」を確認するなどし、事前に把握しておくようにしましょう。

免責事項

投資判断は、最新の決算資料や市場動向をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。
株主優待の内容や条件は変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでご確認ください。

参考資料

若山 卓也