公的年金だけでは生活費が心もとないと感じる方に向けて、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。
この記事では、2026年度の年金生活者支援給付金の給付額と、老齢・障害・遺族それぞれの支給要件、請求手続きの流れ、そして支給日について解説します。
あわせて、今のシニア世代が実際に受け取っている年金額の個人差についても確認していきましょう。
なお、年金生活者支援給付金の支給要件・2026年度の給付額、および公的年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 2026年度の年金生活者支援給付金は前年度より+3.2%増額。老齢5620円・障害1級7025円・2級5620円・遺族5620円
- 支給要件は老齢・障害・遺族それぞれ異なり、いずれも前年の所得額が基準になる
- 給付金は年6回、偶数月の15日に年金とは別枠で振り込まれる
1. 2026年度「年金生活者支援給付金」の給付額
「年金生活者支援給付金」は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準に満たない場合に受け取れる給付金です。
老齢年金、障害年金、遺族年金のそれぞれの年金に給付金が設けられており、2カ月に一度、公的年金に上乗せして支給されます。また、給付額は公的年金と同様に、年度ごとに見直しがおこなわれます。
1.1 年金生活者支援給付金「2026年度の給付額」はいくら?
2026年度の「年金生活者支援給付金」の給付額は、前年度より+3.2%引き上げが決定しており、6月支給分の「4・5月分給付金」から増額率が適用されます。
各給付金の2026年度月額について、日本年金機構は次のように説明しています。
老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円(※基準額)
障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円
なお、老齢年金生活者支援給付金については、上記を基準額として、保険料納付済期間などをもとに実際の給付金額が計算されます。
2. 「年金生活者支援給付金」の対象者
「老齢」「障害」「遺族」、3種類ある年金生活者支援給付金には、それぞれの支給要件が定められています。
一つひとつ整理していきましょう。
2.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
老齢年金生活者支援給付金の対象となる要件について、日本年金機構は次のように説明しています。
65歳以上で老齢基礎年金を受給している
同じ世帯の全員が市町村民税非課税である
前年の公的年金などの収入金額とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下である
また、この所得基準をわずかに超えている場合にも、次の救済措置があります。
昭和31年4月2日以降生まれの方で80万9000円を超え90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます
2.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
2.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
いずれの年金生活者支援給付金も、前年の所得額が支給要件に関わっています。
なお、年金生活者支援給付金は、受給要件を満たしても自動では支給されません。受け取るためには、必ず「請求手続き」が必要です。
3. 年金生活者支援給付金の請求手続き
年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が郵送されます。
請求書の送付時期や書類形式は、年金の受給状況により異なります。今回は該当する人が多い2つのパターンを見ていきましょう。
3.1 【パターン1】65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する人
- 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出
3.2 【パターン2】基礎年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる人
- 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
- 日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請を利用できます
- 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函
なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない人には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。
3.3 年金生活者支援給付金の支給日はいつ?
年金生活者支援給付金は、年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。
年金の受取口座と同じ口座に、同日、年金とは別に振り込まれます。(通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます)
各支払月には、原則、その前月までの2カ月分の年金生活者支援給付金が支払われます。例えば、10月に給付されるのは、8月分・9月分の給付金です。
4. 今のシニア世代の年金受給額、個人差はどれくらい?
今のシニア世代の年金受給事情についても触れていきます。
厚生労働省が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、60歳以上のすべての受給権者の男女差・個人差に着目してみましょう。
4.1 厚生年金の平均年金月額
厚生年金の平均年金月額について、次のようなデータが示されています。
〈全体〉平均年金月額:15万289円
〈男性〉平均年金月額:16万9967円
〈女性〉平均年金月額:11万1413円
4.2 国民年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万9310円
〈男性〉平均年金月額:6万1595円
〈女性〉平均年金月額:5万7582円
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は、男性の平均が16万9967円であるのに対し、女性の平均は11万1413円と、約6万円の開きがあります。
この格差が生じる背景には、厚生年金の計算方法があります。厚生年金は、現役時代の給与や加入期間が年金額に反映されるため、平均勤続年数が長く、生涯賃金が高かった男性の受給額が大きくなる傾向があるのです。
一方で、国民年金は加入月数に応じて受給額が決まる仕組みのため、男女間の受給額に大きな差はありません。
厚生年金受給額が月額2万円未満から30万円超までと幅が広いことからも、一人ひとりの働き方や加入期間が年金額に大きく影響していることがわかります。
4.3 【シミュレーション】男女の厚生年金差、10年間ではいくらの開きになる?
先ほど確認した厚生年金の男女差(男性16万9967円・女性11万1413円)をもとに、65歳から75歳までの10年間受け取り続けた場合の総額の差を試算してみましょう。
- 月額の差:16万9967円-11万1413円=5万8554円
- 年額に換算すると:5万8554円×12カ月=約70万2648円
- 10年間の累計では:約70万2648円×10年=約702万6480円
単月では6万円弱の差でも、10年という期間で累積すると700万円を超える計算になります。この差は、現役時代の給与水準や厚生年金への加入期間の長さが積み重なって生じているものと考えられます。ご自身やご家族の働き方を振り返り、加入期間に空白がないかを確認しておくことが、将来の受給額を左右するポイントになります。
なお、この試算はあくまで平均値どうしを単純に比較した目安であり、実際の受給額は個人ごとの加入実績によって大きく異なります。正確な見込額を知りたい場合は、ねんきん定期便やねんきんネットでご自身の記録を確認することをおすすめします。
今回確認してきたように、年金生活者支援給付金は前年の所得や世帯の課税状況によって対象かどうかが決まり、公的年金そのものの受給額にも個人差があります。ご自身の状況を正確に把握するためには、平均額や基準額だけを鵜呑みにせず、ねんきん定期便や年金事務所への確認を習慣にしておくとよいでしょう。











