4. 税金と社会保険料の大きな違い

老齢年金は、「年金所得」に対して所得税や住民税、国民健康保険料(在職者は健康保険料)などがかかります。年金所得は年金収入(支給額)から公的年金等控除(65歳以上は110万円)を差し引いて計算します。

所得税は、年金所得から基礎控除(所得税は104万円)やその他の所得控除を差し引いて計算します。その他の所得控除がない場合、支給額214万円以下なら所得税はかかりません。

一方、障害年金は非課税であるため、障害年金に対して所得税や住民税、国民健康保険料などはかかりません。障害年金と老齢年金の支給額がほぼ同額ならば、障害年金を選択したほうが所得税などの負担は少なくて済みます。

5. 年金選択の手続きは年金事務所で

年金選択の手続きは郵送でも可能ですが、年金事務所で手続きすることをおすすめします。受給できる老齢年金と障害年金の支給額を正確に確認したうえで、希望する年金を間違いなく選択できるからです。

実際の相談では、非課税で基礎年金の満額を受け取れる障害基礎年金に、障害認定日以降も働いて積み上げた老齢厚生年金を組み合わせる「障害基礎年金+老齢厚生年金」を選択肢する人が多いと感じます。ただし、どの選択が得かは加入歴や家族構成によって異なります。

6. まとめにかえて

今回は、65歳以降の障害年金と老齢年金の選択方法について解説しました。

両方の権利を持つ方は、3つの組み合わせの中からご自身に最も有利なものを選ぶことができます。選ぶ際は額面ではなく、税金がかからない障害年金のメリットを活かした「手取り額」で比較することが大切です。

年金制度は一人ひとりの加入記録やご家族の状況によって、正解がまったく異なります。ご自身だけで悩まず、専門知識を持つ年金事務所の相談員に頼っていただき、安心して老後の生活を支える大切な年金を受け取っていただきたいと思います。

年金の手取り額を意識することは、老後のゆとりを守るための第一歩です。記事にもある通り、非課税となる障害年金のメリットは生活設計において非常に大きな支えとなります。また、配偶者やお子様がいる場合「加給年金」などの家族手当がつくケースもあり、選択によって金額が大きく変わることがあります。疑問に思ったら、迷わずお近くの年金事務所や年金に詳しい社会保険労務士などの専門家にご相談くださいね。
村岸 理美

参考資料

西岡 秀泰