2026年度の年金額は前年度から1.9パーセント引き上げられ、年金を受け取る世代の方々にとっても日々の生活設計を見直す良いきっかけになったのではないでしょうか。年金には原則として「1人1年金」というルールがありますが、65歳以降は支給される理由が異なる2つの年金を同時に受け取れる特例があります。
今回は、障害年金と老齢年金の両方を受け取る権利がある方が、どちらを選択すればご自身にとって有利になるのか、3つのポイントをわかりやすく解説します。
- 老齢年金と障害年金を組み合わせる3つの選択肢
- 額面ではなく「手取り額」で比較すべき理由と税金の違い
- 年金事務所で相談するメリットとおすすめの受け取り方
1. 年金の選択は「額面」ではなく「手取り額」で判断する
年金の併給ルールにより、65歳以降は老齢年金と障害年金の両方を受け取ることが可能です。具体的には、次の3通りから自分で選択できます。
- 障害基礎年金+障害厚生年金
- 老齢基礎年金+老齢厚生年金
- 障害基礎年金+老齢厚生年金
選択のポイントは、「支給額」ではなく「手取り額」で判断することです。それぞれの支給額を比較し金額の多い方を選択することが多いですが、支給額が少ない他の選択のほうが手取り額が多くなるケースがあるからです。
「支給額」と「手取り額」が逆転するのは、所得税や社会保険料などの影響が考えられます。正しい選択をするためには、老齢年金と障害年金の支給額と税金、社会保険料などについて理解が必要です。
2. 2026年度の年金額はいくら?障害年金と老齢年金の基本額を比較
2026年度の各基礎年金の支給額(年額)は次の通りです。障害基礎年金は障害等級によって支給額が異なります。障害等級1級の支給額は2級の1.25倍です。なお、各基礎年金額は2025年度から1.9%アップしました。
- 障害基礎年金1級:105万9125円(月8万8260円)
- 障害基礎年金2級:84万7300円(月7万608円)
- 老齢基礎年金(満額):84万7300円
老齢基礎年金は、過去に国民年金保険料の未納や免除の期間があると、満額の84万7300円より少なくなります。そのため、基礎年金の部分だけを比べると、減額されない障害基礎年金を選んだほうが支給額が多くなるのが一般的です。
3. 障害厚生年金と老齢厚生年金の支給額
平成15年4月以降に初めて厚生年金に加入した場合、障害厚生年金(障害等級2級)と老齢厚生年金の受給額(基本額)は次の通り計算します。障害等級1級の受給額は2級の1.25倍です。
- 受給額=平均標準報酬額(※) × 5.481/1000 × 加入期間(月数)
※各月の給与や賞与を基にした「標準報酬月額」と「標準賞与額」の総額を加入期間で割って計算した金額のことです。
計算式は同じでも計算式の加入期間は以下の通り異なります。
- 障害厚生年金:障害認定日(※)の属する月までの厚生年金加入期間
- 老齢厚生年金:65歳の誕生月の前月(1日生まれの人は前々月)までの厚生年金加入期間
※原則、障害の原因となった病気やけがなどで初めて医師等の診断を受けた日(初診日)から1年6か月を経過した日を指します。
障害認定日以降に厚生年金に加入した場合、老齢厚生年金の方が加入期間が長いため、支給額は障害厚生年金2級よりも多くなります。ただし、加入期間が300月未満の場合、障害厚生年金は300月加入とみなして計算するため、障害厚生年金2級の支給額が高くなります。
また、家族状況や60歳以降の厚生年金加入状況などによって障害年金や老齢年金に加算がつくこともあります。各選択時の支給額については、年金事務所できちんと確認して比較しましょう。


