「世帯の平均貯蓄額」や「平均的な生活費」を見て、自分は足りていないのではと感じたことはありませんか。この記事では、65歳以上の家計収支と年金の受給実態を確認したうえで、平均という数字とどう向き合えばよいのかを整理していきます。

筒井 亮鳳
60代の方から「自分は平均より下なのでは」というご相談をよくいただきます。この記事では、年金の受給額分布から「平均」の実際の見方を確認し、自分に必要な金額の出し方をご紹介します。

なお、公的年金の2階建て構造・国民生活基礎調査のデータ・受給額分布については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

「年金だけで生活」できているシニアは4割のみ?厚生年金「月10万円未満」が約19%…いまどきシニア世代の平均受給額はいくらか
「年金だけで生活」できているシニアは4割のみ?厚生年金「月10万円未満」が約19%…いまどきシニア世代の平均受給額はいくらか
ココがポイント
  • 65歳以上無職世帯は夫婦で毎月4万2434円、単身で2万9980円の赤字
  • 年金受給世帯の41.3%が、収入のすべてを公的年金・恩給に頼って生活している
  • 厚生年金でいちばん人数が多いのは「10万円台前半」。平均15万289円より少ない人のほうが多い

1. 65歳以上無職世帯の毎月の生活費

まずは65歳以上の平均的な生活費をみていきましょう。2026年2月6日に総務省より公表された「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」から、65歳以上無職の夫婦世帯と単身世帯のひと月の家計収支を見てみましょう。

1.1 ケース1:65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支

実収入の月額平均:25万4395円(うち社会保障給付22万8614円)

支出の月額平均:29万6829円(うち消費支出26万3979円、非消費支出3万2850円)

月々の家計収支の結果:4万2434円の赤字

この夫婦世帯の場合、ひと月の実収入25万4395円に対し、支出は合計29万6829円で、月の家計収支は4万2434円の赤字となっています。

1.2 ケース2:65歳以上の無職単身世帯の家計収支

実収入の月額平均:13万1456円(うち社会保障給付12万212円)

支出の月額平均:16万1435円(うち消費支出14万8445円、非消費支出1万2990円)

月々の家計収支の結果:2万9980円の赤字

単身世帯の場合は、ひと月の実収入13万1456円に対し、支出は合計16万1435円で、月の家計収支は毎月2万9980円の赤字となっています。

2. 「年金だけ」で生活されるシニア世帯の割合をみる

では、年金だけで生活するシニアはどれくらいでしょうか。厚生労働省が公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態を見ていきましょう。

まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の61.3%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.9%、「財産所得」が5.8%となっています。しかし、これはあくまで全体の平均値です。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が41.3%にものぼることがわかっています。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

2.1 総所得に占める公的年金・恩給の割合から見る世帯構成

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成3/7

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:41.3%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:17.1%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:14.1%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:13.6%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:9.7%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.2%

このようにシニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その4割以上が公的年金収入のみに頼って生活しているという実態が浮き彫りとなっています。