3. 2026年12月から「拠出限度額」が引き上げに。対象者と変更額は?

ここで知っておきたいのが、2026年12月1日の制度改正により、2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から適用される拠出限度額の引き上げです。国民年金基金連合会が2026年8月に公表した案内によると、変更内容は加入区分によって異なります。

制度改正(2026年12月施行)にともなう拠出限度額の引き上げの概要3/4

制度改正(2026年12月施行)にともなう拠出限度額の引き上げの概要

出所:厚生労働省「iDeCoの加入者、加入ご検討中の皆さまへ iDeCoの拠出限度額と加入可能年齢が引き上げられます」

  • 第1号加入者・第4号加入者(自営業者等・任意加入被保険者):月「6万8000円」→月「7万5000円」(0.7万円の増額)
  • 第2号加入者(企業年金なし):月「2万3000円」→月「6万2000円」(3.9万円の増額)
  • 第2号加入者(企業年金あり):これまでの「iDeCo単体の上限」が撤廃され、企業年金等と合計で月「6万2000円」まで(最大4.2万円の増額)
  • 第3号加入者(専業主婦・主夫):月「2万3000円」のまま変更なし。今回の引き上げの対象外です

また、60歳以上70歳未満の方でiDeCoを活用した資産形成を続けたい方向けに、新たに「第5号加入者」という区分が新設され、上限は月「6万2000円」です。

第3号加入者は引き上げの対象外という点は、意外と見落とされやすいポイントかもしれません。ご自身の加入区分が「対象になるのかどうか」を、まず確認しておくとよいでしょう。

3.1 あわせて「加入可能年齢」も70歳未満に拡大

2026年12月からは、拠出限度額の引き上げとあわせて、iDeCoの加入可能年齢も70歳未満に拡大されます。

ただし、60歳以上70歳未満の方が対象になるには、次のいずれかに該当する必要があります。

  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者
  • 確定給付企業年金(DB)の加入者
  • 国民年金の付加年金・国民年金基金の加入者
  • 国家公務員・地方公務員、私立学校教職員(共済加入者)

なお、上記に該当しない方であっても、2029年11月末までは移行措置としてiDeCoへの加入が可能とされています。「自分は対象になるのか」がわかりにくい制度改正でもあるため、60代で加入を検討している方は、この移行期間中に運営管理機関へ確認しておくと安心です。

4. 掛金額を見直すなら、いつまでに手続きが必要?

今回の引き上げにあわせて掛金額の変更を希望する場合、いくつかの期限を押さえておく必要があります。国民年金基金連合会の案内では、次の2つの方法が示されています。

  • 事前受付:2026年9月頃から開始予定。専用の届出書を運営管理機関から入手し、提出する方法です。対象となるのは、拠出限度額が引き上げられる加入区分の方で、現在の掛金納付方法が「毎月定額」の方に限られます
  • e-iDeCo(オンライン手続き):2026年12月1日から12月24日までの期間に手続きが可能です

いずれの方法でも、他の手続きとの兼ね合いなどにより、12月分の掛金額変更に間に合わない場合があります。その場合は2027年1月分以降の反映になるとされていますので、変更を希望する方は期間内の早めの手続きをおすすめします。詳しい手続き方法は、加入している運営管理機関に確認するのが確実です。

5. iDeCoのメリットを最大限に活かすために。FPが考える「継続」と「見直し」の視点

2026年6月時点のデータをもとに、iDeCoの最新の利用状況と、2026年12月に予定されている拠出限度額の引き上げについて解説しました。

約400万人が将来の備えとしてiDeCoを活用していますが、制度を続ける上で欠かせないのが「登録情報の正確さ」です。転職や企業年金の変更があった際に手続きが漏れると、意図せず掛金の拠出が止まってしまうことがあります。書類一通の不備で積み立てが止まれば、本来得られるはずだった所得税・住民税の節税効果を逃すことにもなりかねません。

FPとして家計相談を受ける中では、「掛金額を上げるべきかどうか」というご相談もよくいただきます。判断のポイントとして、以下の点は押さえておきたいところです。

5.1 ①無理のない金額に設定する

iDeCoは原則60歳まで資産を引き出せない制度です。日々の生活費や当面必要な資金とのバランスを考えたうえで、無理のない金額に設定しましょう。拠出限度額が上がったからといって、必ずしも上限まで拠出する必要はありません。

5.2 ②他の制度との組み合わせも検討する

資産形成の方法はiDeCoだけではありません。新NISAなど他の制度とあわせて、ご自身や家族の状況に合った組み合わせを検討することをおすすめします。

2026年12月の制度改正は、多くの方にとって拠出余力が広がるチャンスです。この機会に、ご自身の掛金額や登録情報を「自分事」として一度見直してみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美