年金だけで老後の生活費をまかなえるか、不安に感じている方は少なくないのではないでしょうか。
厚生労働省や生命保険文化センターの統計を見ると、年金受給額と、ゆとりある生活費との間には月あたり十数万円の差があることがわかります。
この差を埋める選択肢の一つとして注目されているのが、自宅に住み続けながら資金を借り入れる「リ・バース60」です。住宅金融支援機構が公表した2025年度の利用実績データから、その実態と活用のポイントを見ていきます。
※この記事では、一部、以下の記事を引用しています。
- 公的年金の受給額と、ゆとりある老後生活費との間には月あたり約16万円の差がある
- 「リ・バース60」は自宅に住み続けながら、毎月は利息のみを払い、元金は契約終了時に一括返済する仕組み
- 2025年度は金利上昇を背景に「全期間固定金利」の利用が急増し、ノンリコース型の選択率もほぼ100%に達した
1. 年金だけでは、老後の生活費に月16万円の差
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均年金月額(民間企業に勤めていた会社員男性。統計上の厚生年金保険第1号)は16万9967円、国民年金の平均年金月額(女性)は5万7582円です。
1.1 厚生年金(国民年金を含む)の平均月額
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
1.2 国民年金の平均月額
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
夫が厚生年金、妻が国民年金というモデルで単純に合計すると、夫婦の年金額は月22万7549円(約22.8万円)となります。
一方、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2025年度)では、夫婦2人が老後生活を送るうえで必要と考える最低日常生活費は月23.9万円、ゆとりある生活費は月39.1万円という結果が出ています。年金額とゆとりある生活費を比べると、その差は月あたり約16.3万円にのぼります。
多くの世帯で貯蓄や資産の活用が必要になる状況がうかがえます。
「預貯金だけでは不安だが、住み慣れた自宅を手放したくはない」――そんな悩みを抱えるシニア層の間で、自宅という資産を有効活用する選択肢として関心が高まっているのが「リバースモーゲージ」です。
2. そもそも「リバースモーゲージ」とは?
リバースモーゲージとは、持ち家を担保に住み続けながら資金を借り入れられる、シニア世代向けのローン制度です。
一般的な住宅ローンとは異なり、生前の毎月返済は「利息のみ」で済むため、年金生活でも月々の負担を小さく抑えられます。借り入れた元金は、契約者が亡くなった後に自宅を売却して一括清算する仕組みです。
一口にリバースモーゲージと言っても、大きく分けて2つのタイプが存在します。
- 民間銀行のタイプ: 資金使途が自由で、毎月の生活費の補填や趣味、介護費用などに幅広く利用可能
- 公的機関が関わるタイプ: 資金使途が住宅関連(リフォームや住み替えなど)に限定されている
このうち、特に住宅ローンの残債処理やリフォーム目的で選ばれているのが、住宅金融支援機構が取扱金融機関と連携して提供する「リ・バース60」です。




